2013 Fiscal Year Annual Research Report
融合マテリアル形成制御用無機クラスターの設計と合成
Project Area | Fusion Materials: Creative Development of Materials and Exploration of Their Function through Molecular Control |
Project/Area Number |
22107002
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
垣花 眞人 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (50233664)
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Project Period (FY) |
2010-06-23 – 2015-03-31
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Keywords | ハイブリット材料 / 機能性高分子 / 融合マテリアル / 自己組織化 / セラミックス |
Research Abstract |
平成25年度は、大きく分けて以下の4項目を実施した。 (1)水溶性無機クラスターの開発および構造解析:融合マテリアルの基幹元素の一つであるリンの水溶性化合物の調製を試みた。結果、リン酸およびピロリン酸とグリコールの混合溶液を還流することで、常温常圧でほかの元素と化合物を形成しない化学的に高い安定性を有する水溶性リン化合物が得られることが明らかとなった。本化合物は従来リン原料と異なり高い安定性を有することから、種々の融合マテリアルの原料になり得る。また、開発したリン化合物を原料に用いた蛍光体材料の高機能化も達成している。 (2)水を溶媒に用いたチタン系材料の創成:水溶性チタン錯体とピコリン酸を用いた373K以下の熱処理により、層状構造を有する新しいチタン化合物が生成することを見出した。また、水溶性チタン錯体と分子制御剤を用いることで生成する大きな形状異方性を有する酸化チタンが、高い誘電特性を示すことを、領域内共同研究により明らかにした。 (3)鉄酸化物の形態制御および鉄を核とする新しい化合物の合成:マグネタイトの水熱合成において、多種多様な化合物を加えることで、露出結晶面が制御された結晶の合成を試みた。結果、ピコリン酸やピリジンを添加することで、多数の結晶面が露出したマグネタイト粒子が生成することを見出した。多くの結晶面が露出していることから、得られたマグネタイト粒子は特異な性能を有していると考えられ、本研究により、ありふれた材料の高機能化が達成されることが期待できる。 (4)水溶性無機クラスターおよびその調製技術を用いた融合マテリアルの創成:開発した水溶性無機クラスターの特性を活かし、高分子や生体分子などを組み合わせた融合マテリアルの創成を領域内共同研究により試みた。現在までに一部において萌芽的な成果が得られている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究では、融合マテリアル形成制御用の水溶性無機クラスター・錯体の開発とそれらを用いたナノとマクロが制御された融合・無機マテリアルの創成を目的とする。これまでに、チタン、シリコン、リンの新しい水溶性および水分散性化合物の調製に成功している。また、それらを用いた結晶構造や形態が制御されたセラミックスの合成も達成している。さらには、領域内での共同研究により、マクロ構造制御によってありふれた材料の高機能化がなされることを明らかにしている。これ以外にも領域内共同研究による論文も発表できており、本年度までの本研究課題の達成度は「当初の計画以上に進展している」と評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
新しい水溶性無機クラスター・錯体の開発やそれらを用いたナノとマクロが制御された材料合成及び機能開拓は、これまでと同様に進める。また、開発したクラスター・錯体を用いた融合マテリアル創成も、領域内研究者と連携しながら引き続き行う。加えて、分子制御剤を用いた無機マテリアルの形態制御において、その制御機構、形成機構を明らかにするために、領域内での共同研究を開始する。
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