2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Fusion Materials: Creative Development of Materials and Exploration of Their Function through Molecular Control |
Project/Area Number |
22107006
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
青島 貞人 大阪大学, 理学研究科, 教授 (50183728)
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Keywords | 融合マテリアル / 高分子の精密合成 / リビングカチオン重合 / ブロックコポリマー / ドミノ合成法 / セグメント配列 / スマートフィルム / 酸化鉄重合触媒 |
Research Abstract |
本研究は、自然界に多数存在するような優れた性能や特異的な機能を有する有機/無機融合マテリアルの新規創製を目的としている。今年度は、構造や分子量の制御された高分子の精密合成法の確立と、界面でのセグメント配列やモルホロジー制御の可能性を検討した。 1.自己修復・分解/刺激応答性を有する融合マテリアルの創製:カルボン酸やアミン側鎖を有するモノマー、親水性・疎水性モノマー、動的/刺激応答界面に利用可能なモノマーのリビングカチオン重合を検討した。その結果、分子間の強い相互作用により水中ないし有機溶媒中で高感度に相分離やゾルーゲル転移する、いくつかの温度応答性リビングポリマーが得られた。たとえば、ブロック、グラフト、星型などの形態を有する含フッ素ポリマーを選択的に合成した。また、ブロックや星型ポリマーの新規合成法としてモノマー選択重合を利用した"ドミノ合成法"を見出した。 界面でのセグメント配列に必要なシークエンス分布制御法を検討し、ランダム、交互、ブロック、星型などのシークエンスで精密に連結する重合条件を探索した。交互型ポリマーとしては、天然由来アルデヒドとビニルエーテルとの共重合を行い精密に制御されたポリマーを合成した。このポリマーは交互構造のため、酸により低分子化合物まで完全に分解された。また、アミノ基含有抗菌性ポリマーを検討したところ、ブロック型シークエンスを有すると、生体には毒性を示さない選択的抗菌性を発現することが示された。さらに動的界面の設計として、新しい刺激応答性"スマートフィルム"の創製も行った。 2.磁性細菌由来の酸化鉄を用いたリビング重合:当領域内での共同研究により、自然界の磁性細菌が作成した酸化鉄を用いてビニルエーテル類のカチオン重合を検討した。その結果、ポリマーが得られただけでなく、最適条件では構造や分子量の制御されたリビング重合が進行することがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
優れた性能や特異的な機能を有する有機/無機融合マテリアルの創成のために、当初予定していた一次構造や分子量の制御された高分子材料の精密合成法の確立と、界面でのセグメント配列やモルホロジーの制御が順調に進行している。さらにそれだけでなく、星型ポリマーの新規合成法として、モノマー選択重合を利用した"ドミノ合成法"を世界で初めて見出した。また領域内のメンバーとの共同研究により、磁性細菌が作成した酸化鉄を重合触媒に用いると、驚くことに、ビニルエーテルのリビング重合が進行することがわかった。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の推進方策としては当初と大きな変更はなく、予定どおり、有機高分子材料の構造制御法の確立、界面でのセグメント配列やモルホロジーの制御の可能性を明らかにしていく。その結果、動的な界面や刺激応答性界面の設計の検討を行う予定である。例えば、今年度動的界面の可能性が明確になった、刺激応答性フィルムの創製をさらに前進させ、フィルム形成セグメントと刺激応答性セグメントからなる様々なブロックや星型ポリマーを用いて新しい刺激応答性"スマートフィルム"の創製を検討していく。また、磁性細菌が作成した酸化鉄を用いたリビング重合の可能性を見出すことが出来たので、さらに様々な形態の酸化鉄による重合を行いリビング重合の最適条件を検討するとともに、他の研究者との共同研究により酸化鉄の構造と重合挙動や機構との関係を詳細に検討する。
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