2011 Fiscal Year Annual Research Report
バイオミネラルの無機組織構造に学ぶ融合マテリアルの構築
Project Area | Fusion Materials: Creative Development of Materials and Exploration of Their Function through Molecular Control |
Project/Area Number |
22107007
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
大槻 主税 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (00243048)
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Keywords | ハイブリッド材料 / 融合マテリアル / セラミックス / 機能性高分子 / 生体材料 / ヒドロキシアパタイト / バイオミネラル / 擬似体液 |
Research Abstract |
骨や歯といったバイオミネラルは、しなやかで高強度な構造を持ちながら、周囲の環境に応答して、分解と再構築が繰り返される機能を持つ環境応答材料である。本研究は、バイオミネラル作る巧みな無機/有機融合構造を規範にして、有機高分子のテンプレートに水酸アパタイト(ヒドロキシアパタイト;HAp)や炭酸カルシウム、チタニア、酸化鉄などの無機結晶を階層的に複合化したハイブリッド材料の構築プロセスの確立を目指している。 本年度においては、生成する無機結晶のリン酸カルシウムの種類を拡張しながら、有機高分子としてポリアクリル酸やポリアリルアミンなどの合成高分子、有機分子としてスルホ基を持つ水溶性有機酸を用である2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(AMPS)を用いながら、リン酸カルシウムの生成を検討した。有機分子とともにリン酸、炭酸およびカルシウムなどの無機イオンの濃度が溶液反応で起こる結晶析出現象を調べた。その結果、体液組成に類似した水溶液(擬似体液;SBF)を用いたプロセスにおいて、有機高分子の有機テンプレートとなる水和ゲルにスルホ基を導入することによって、ゲル中におけるリン酸カルシウムの析出領域の制御を可能にした。また、ゲル状の有機高分子のマトリックスを利用したテンプレート効果と温度、過飽和度の制御により、繊維状のHApの合成にも成功した。一方、骨格となる無機固体(セラミックス)として炭酸含有ヒドロキシアパタイト(CHAp)有機修飾リン酸八カルシウム(OCP)の合成条件を調べた。その結果、β型リン酸三カルシウムとリン酸水素カルシウム二水和物の混合粉末の成形体を、尿素水溶液を用いて水熱条件にて、蒸気による処理に引き続いて,溶液での処理を行うことにより、結晶性が高く、1.9%の炭酸を含有するCHApが得られることを明らかにした。さらに2種類のジカルボン酸を導入したOCPが合成できる条件を見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
基板材料の合成と有機分子を用いた無機結晶の形態や生成位置の制御、高分子テンプレートを用いたリン酸カルシウム結晶の形態制御に関する基礎的な条件の解明については、モデルにより各々の現象解明に関わる知見を順調に積み重ねている。各々の材料を複合化する構造構築については、引き続き次年度以降の知見を利用しながら進める予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
無機-有機複合構造の構築をモデル化する手法で、順調に基礎的な知見を収集できることが解ったので、この解析手法をさらに、多くの種類の無機化合物と有機分子に拡張する。複合化の構築手法に関しては、領域内での共同研究をより積極的に進めることにより、温度やpHといった刺激応答性分子の導入により外部環境の変動を利用した複合化を試み、解決を図る。
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Research Products
(44 results)