2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Fusion Materials: Creative Development of Materials and Exploration of Their Function through Molecular Control |
Project/Area Number |
22107008
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
菊池 裕嗣 九州大学, 先導物質化学研究所, 教授 (50186201)
|
Keywords | 有機組織体 / ミネラリゼーション / 液晶 / フラストレーション / 融合マテリアル |
Research Abstract |
本研究の主たる目的は、無機、金属、固体高分子などのハードで静態的な物質に、生体組織、液晶などのソフトで動態的な物質に特徴的に見られる高度に階層化した秩序構造を与えた新規な融合マテリアルを創製すること、および、その融合マテリアルが常温かつ温和な環境で創製できることを実証することにある。本研究では、自然調和型構造材料、すなわち1)配向欠陥のネットワークに異種物質を位置選択的に配列させた新規なナノ構造化融合マテリアル、および、2)秩序領域で無機物質等をテンプレート合成させた高秩序・高階層融合マテリアルを創製することを目的とする。 平成22年度は、(1)高分子によって液晶ブルー相の温度範囲が顕著に拡大した高分子安定化ブルー相の構造の超小角X線回折法による解析、(2)液晶の配向欠陥と高分子の長距離相互作用を液晶配向欠陥への高分子微粒子のトラップ挙動を直接観察することによる評価、(3)無機物質と液晶との融合を目指した基礎研究として、水を含むリオトロピック液晶によるキラル液晶を実施した。 小角X線回折実験の結果、高分子安定化ブルー相中で高分子鎖はランダムな分布をしているのではなく、明確な周期性を持って凝集していることを示している。また、その周期長はカイラル剤濃度が高くなるにつれて小さくなり、カイラル剤濃度が高くなるほどブルー相の格子定数が小さくなるという反射スペクトル測定の結果と一致した。また、共焦点走査型レーザ顕微鏡により液晶の配向欠陥に異種物質がトラップされることが直接観察された。さらに、水を溶媒とするリオトロピック液晶のキラル化を検討し、両親媒性物質、長鎖アルコール、キラル剤、水の適切な混合条件でリオトロピックキラル液晶が発現することが明らかとなった。
|