2011 Fiscal Year Annual Research Report
人工機能化タンパク質を用いた融合マテリアルの構造制御
Project Area | Fusion Materials: Creative Development of Materials and Exploration of Their Function through Molecular Control |
Project/Area Number |
22107009
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
新垣 篤史 東京農工大学, 大学院・工学研究院, 准教授 (10367154)
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Keywords | ハイブリッド材料 / 機能性高分子 / 融合マテリアル / 生体材料 / バイオテクノロジー |
Research Abstract |
本研究は、微生物におけるバイオミネラル結晶の形成に関与するタンパク質の分子制御に基づいた磁性融合マテリアルの創製を目的としている。磁性材料の磁気特性は、結晶の構造、形態、サイズに依存することからこれらの因子の制御が要求される。特に、バイオミネラルの最小単位であるサブミクロン~ナノメートルサイズの結晶の形態や表面構造を制御する技術の開発に取り組む。本年度は、磁性細菌の細胞内でのタンパク質の機能の解析、及びタンパク質をコードする遺伝子の発現を誘導することによる結晶形態やサイズの制御について検討を行った。磁気微粒子の形態を制御するタンパク質をコードする遺伝子を欠損した欠損株を作製し、野生株が生成する結晶の形態と比較した。その結果、これらの欠損株では、野生株の粒子と形態が著しく異なる柱状の粒子を生成した。また、タンパク質電気泳動により磁性細菌粒子膜タンパク質を解析することで、粒子表面にタンパク質の発現がないことを確認した。次に、透過型電子顕微鏡を用いて細胞内に合成される酸化鉄結晶の形態を観察したところ、野生株では球状の結晶が形成されるのに対し、遺伝子欠損株では表面が不明瞭で伸長した形態の結晶の形成が確認された。さらに、形態制御タンパク質をコードする遺伝子を発現誘導ベクターに組み込み、遺伝子欠損株に導入した。その結果、遺伝子発現を誘導することによって、野生株と類似した球状の形態の結晶の合成が確認された。以上より、細胞内で同遺伝子の発現を調節することで、酸化鉄結晶の形態制御が可能であることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
酸化鉄結晶の形態制御を担うタンパク質の細胞内での機能を解析し、さらにその発現量を調節することで、結晶形態を制御することに成功した。本研究の大目的である人工機能化タンパク質の利用を実現できる手法論であり、目標の達成に大きく近づいた。
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Strategy for Future Research Activity |
酸化鉄結晶の形態制御機構をさらに解析し、in vivo及びin vitroの系において、タンパク質を利用した結晶形態の自在な設計を行う。また、タンパク質を利用することによって、多様な形態や構造を持った磁性材料を創製し、新しい物性の発見に繋げる。そのため、領域内外の研究者との共同研究を積極的に実施する。
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Research Products
(16 results)