2013 Fiscal Year Annual Research Report
抗ガン剤生合成マシナリーの再構築および多様性創出機構の解明
Project Area | Biosynthetic machinery: Deciphering and regulating the system for bioactive metabolite diversification |
Project/Area Number |
22108002
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
及川 英秋 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (00185175)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
南 篤志 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (40507191)
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Project Period (FY) |
2010-06-23 – 2015-03-31
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Keywords | 生合成 / ペプチド合成酵素 / 全生合成 / 抗腫瘍性物質 / 麹菌 |
Research Abstract |
昨年度解析したキノカルシン(QCN)の非リボソーム依存ペプチド合成酵素(NRPS)の機能解析に続いて、シアノサイクリン(CYA)NRPSの機能解析を行い、QCNの場合と同様、補助タンパクCya16は、2種のNRPS, Cya17/Cya19と複合体を形成して活性を示すことがわかった。また三者複合体は、dehydroarginineに比べ、芳香族アミノ酸3-hydroxytyrosineや修飾チロシン誘導体を優先的に(5~10倍)活性化することから、基質のサイズに対応して、鎖状アルデヒドと二環性アルデヒドの二種の基質を使い分けるなど複雑な機構で多環性骨格を構築することを突き止めた。機能解析が終了したことから、宿主で生合成マシナリーの再構築を試みているが、最終産物の毒性のためか、現在までのところ成功していない。 ポリエーテル系抗生物質モネンシンの生合成において、その特徴的な環状ポリエーテル環の骨格構築にはMonBI、BIIの二種の酵素が必須である。本酵素は4回の環化を触媒するが、 一段階目、二段階目のエーテル環構築が両酵素の存在下でのみ進行する理由を調べた。両酵素が弱いながらヘテロ二量体を形成することを、native MSや表面プラズモン共鳴、さらにはX線結晶構造解析を使って証明した。これにより未解明だった多環性ポリエーテルの構築機構に有力な説を提唱できた。 新学術領域研究が始まって、生産菌の遺伝子群を操作の容易な宿主に移し、標的化合物を収量良く生産する方法論の開発を行なっている。その一環としてポリケタイド型代謝産物の合成を検討した。成功例の少ない糸状菌由来ポリケタイド合成酵素(PKS)-NRPSのハイブリッド酵素遺伝子の発現に挑戦し、アクチン重合阻害剤サイトチャラシンの骨格合成に成功した。また特異な連続シクロプロパン構造を持つ抗真菌剤Jawsamycinの遺伝子クラスターを同定し、3種の酵素複合体の精妙な制御により骨格構築されることを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ペプチド系抗腫瘍性物質の生合成は、サフラマイシンに加え、キノカルシンの骨格構築機構が解明され論文化を達成した。東北大五味教授と共同で、麹菌異種遺伝子発現系を使った糸状菌由来ポリケタイド系天然物の合成が可能になった。放線菌由来の環状ポリエーテルの骨格合成の普遍的な触媒機構や、特異なシクロプロパン環導入機構が提唱できた。これにより類似の化合物群を酵素合成する基礎が整った。
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Strategy for Future Research Activity |
天然物の酵素合成を行う上で重要となる多遺伝子同時導入法の開発、有機合成では困難な天然物を酵素で合成することは我々が確立すべき研究領域の力をアピールする上で重要である。その意味で領域のメンバーが開発したゲノム解析や代謝経路解析ツールを用いて、生合成経路が不明で遺伝子クラスターが取得されていない天然物を合成すること、さらにはこれまで培った知見や手法を駆使して、ゲノム上に多数存在する最終産物が不明な遺伝子クラスターを使った天然物の合成に一般的手法を確立する。
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Research Products
(9 results)