2013 Fiscal Year Annual Research Report
糖転移反応を基盤とする抗生物質生合成マシナリー多様性創出機構の解明
Project Area | Biosynthetic machinery: Deciphering and regulating the system for bioactive metabolite diversification |
Project/Area Number |
22108003
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
江口 正 東京工業大学, 理工学研究科, 教授 (60201365)
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Project Period (FY) |
2010-06-23 – 2015-03-31
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Keywords | 生合成 / 二次代謝産物 / 生合成酵素 / 遺伝子クラスター |
Research Abstract |
本研究では、特徴ある化学構造と有用な生理活性を持つ微生物が産生する二次代謝産物に焦点を絞り、それらの生合成系を遺伝子・酵素レベルで精密に解析することを目的とし、放線菌の生産するポリケチドマクロラクタム抗生物質クレミマイシンの生合成遺伝子の機能解析を行った。 本年度は先ず、クレミマイシンはStreptomyces sp. MJ635-86F5から単離された抗腫瘍性19員環マクロラクタム配糖体抗生物質である。クレミマイシンは開始基質として長鎖アルキル基を有したβ-アミノ酸が取り込まれており、独自の生合成経路を有することが予想できた。まず、クレミマイシン生合成遺伝子クラスターの探索を行った。その結果、ゲノムDNA上約90 kbにわたる領域にクレミマイシンの生合成に関わると考えられる遺伝子クラスターを取得した。この遺伝子クラスターは34個のORFで構成され、I型ポリケチド生合成酵素遺伝子や2,6-ジデオキシ糖生合成酵素遺伝子、ポストPKS修飾酵素遺伝子が存在していた。さらに、スターター生合成における特異なアミノ基導入機構を酵素レベルで解明した。これは天然物生合成における窒素導入機構として前例のないメカニズムであり、ポストゲノム研究として意義深い。 また、同じくマクロラクタム抗生物質であるビセニスタチンのスターター構築に係わる酵素のX線結晶解析に成功し、基質特異性に関する知見が得られた。これらの知見を基に生合成工学的手法により新たなマクロラクタム抗生物質の分子創製も可能になると期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定であるマクロラクタム抗生物質の機能解析については、順調に進んでいる。また、アミノグリコシド系抗生物質に関しては、機能未知の酵素の機能解析を行っており、新たな知見が得られている段階にあり、これらを考えるとほぼ予定通りに研究計画が進んでいると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、アミノ配糖体抗生物質の生合成遺伝子の機能解析をさらに進めて、それらの基質特異性の解明へと進めていく予定である。それらの結果を基に新規類縁体創製を目指す。また、アミノ配糖体抗生物質生合成に関して、機能未知酵素の機能を明らかにすると共に、反応機構解析、基質特異性を明らかにし被天然型抗生物質創製に向けて、研究を発展させる予定である。
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