2012 Fiscal Year Annual Research Report
Studies on biosynthetic assembly line of meroterpenoids
Project Area | Biosynthetic machinery: Deciphering and regulating the system for bioactive metabolite diversification |
Project/Area Number |
22108004
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
阿部 郁朗 東京大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (40305496)
|
Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | メロテルペノイド / 生合成 / 遺伝子クラスター / 機能制御 / 多様性創出 |
Outline of Annual Research Achievements |
糸状菌Aspergillus fumigatus由来ピリピロペンの異種発現系を構築した。メロテルペノイド生合成において分子骨格構築の鍵となるのはポリケタイド部分の生合成を担うポリケタイド合成酵素(PKS)、テルペノイド部分を縮合するプレニル基転移酵素(PT)、末端二重結合に対するエポキシ化を触媒するフラビン要求性の酸化酵素(FMO)、そして閉環反応を担う環化酵素(CYC)である。そこで、麹菌Aspergillus oryzae を宿主として、PKS、PT、FMO、CYCの4遺伝子を同時に導入した異種発現系を構築した。また、同時に、酵母や大腸菌を用いてこれら4酵素を単独で異種発現させた組み替え酵素を用いた酵素の精密機能解析が進行中である。さらに、昨年度からは、Aspergillus terreus由来テレトニン生合成経路の解明に着手した。数多くのテレトニン類縁体が天然から単離されており、その中には医薬品資源として期待されるものも含まれる。これまでに、A. terreusのゲノム情報をもとにテレトニン合成遺伝子クラスターを同定し、ポリケタイド合成酵素(Trt4)、プレニル基転移酵素(Trt2)によって、farnesyl-DMOAが合成されることを示しているが、Trt4、Trt2に加えて、フラビン依存型酸化酵素(Trt8)、環化酵素(Trt1)をAspergillus oryzaeを宿主とした異種発現に成功した。その結果、Trt8によりfarnesyl-DMOAが酸化され、epoxyfarnesyl-DMOAが生成した。一方、環化前にカルボキシル基がメチル化される可能性を考え、メチル化酵素(Trt5)を、Trt1,2,4,8発現系に加えて発現した。その結果、プレテレトニンの生成を確認し、Trt5によるカルボキシル基のメチルエステル化が、環化反応に必須であることを明らかにした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
所期の目的をほぼ達成することができている。また、新たに、オースチノール、アンドラスチン、など、新規メロテルペノイド生合成遺伝子クラスターの取得にも成功した。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後も引き続き、糸状菌A. fumigatus由来ピリピロペンおよびA. terreus由来テレトニンの生合成遺伝子クラスターを構成する各酵素について、他のホモログ酵素との配列比較、または、ホモロジーモデルなどに基づく、部位特異的変異の導入などにより酵素の構造機能相関を検討し、酵素反応機構の解明と分子多様性創出をめざす。また、各酵素の潜在的触媒能力を利用してコンビナトリアル生合成による非天然型新規メロテルペノイド生合成マシナリーの構築に着手する。一方、酵素触媒機能の制御を行う上で、立体構造情報は不可欠である。そこで、PKSやFMOなど、組み替え酵素の結晶化を行い、X線結晶構造解析を試みる。立体構造情報に基づく合理的な機能改変により、酵素触媒機能の拡張と最適化をはかる。最後に、物質生産への展開を考えた場合、今後クリアすべき問題の一つに生産効率の向上が挙げられる。本研究では酵母や麹菌などを生産工場としたコンビナトリアルな有用物質生産系の構築と醗酵工学等への展開をはかる。ゲノム情報を利用して未知クラスターの機能解析、生合成アセンブリーラインの解明と制御、物質生産系の構築にも取り組む。
|
Research Products
(11 results)