2012 Fiscal Year Annual Research Report
Terahertz metamaterials with the structural resonances
Project Area | Electromagnetic Metamaterials |
Project/Area Number |
22109003
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
萩行 正憲 大阪大学, レーザーエネルギー学研究センタ, 教授 (10144429)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮嵜 博司 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00134007)
宮丸 文章 信州大学, 理学部, 准教授 (20419005)
永井 正也 大阪大学, 基礎工学研究科, 准教授 (30343239)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | メタマテリアル / テラヘルツ波 / 負の屈折率 / カイラルメタマテリアル / 界面波 / パーコレーション / バビネの原理 / 疑似表面波 |
Outline of Annual Research Achievements |
様々な作製法により主として平面メタマテリアルを作製し、テラヘルツ時間領域分光法により特性を評価するとともに、FDTD法によるシミュレーションとの比較を行った。金属メッシュは負の誘電率を、また、誘電体球配列は球の最低周波数のミー共鳴付近で負の透磁率を示すが、金属メッシュ上にTiO2微小球を分散する新しい構造の負の屈折率物質構成法を提案・作製した。透過スペクトルの測定とシミュレーションの比較から、負の屈折率が実現されている可能性が示された。レーザー加工装置により、金属薄膜中に相補的メタマテリアルを作製する手法を確立し、V字型アンテナ配列により、一般化されたスネルの法則に基づくフラットレンズを作製した。テラヘルツイメージング測定により、設計に近い集光が実現されていることを確認した。 カイラルメタマテリアル界面に界面波が存在する条件とその特性(前進波、後進波)を理論的に解明した。2次元メタマテリアルの1種である金属チェッカーボードパターンについて、金属パッド同士の接続に乱雑さを導入した場合について、パーコレーション、クラマース-クローニッヒ関係、バビネの原理が絡み合う興味深い性質を見出した。 1次元金属回折格子上の表面波と貫通型金属スリット配列における誘電体導波モードの関係を解明し、これらの構造を様々に変化させることにより、非常に多彩な表面モードやフェイズドアレイなどの機能が得られることがわかった。 高強度のテラヘルツ波源においてキャリアエンベロープフェイズ(CEP)を制御する方法を開発し、メタマテリアルの非線形効果へ適用した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
テラヘルツ帯におけるメタマテリアルの設計と作製法、カイラルメタマテリアルにおける界面波、デバイス応用、非線形光学効果などについて、当初予定通り研究が進展している。メタマテリアルが世間的に周知されるに従い、様々な分野からの共同研究の提案があり、その中から新しい展開がなされつつある。例えば、MEMS技術の導入による多層メタマテリアルの作製、ナノインプリント技術による超広帯域高性能のテラヘルツ偏光子、自由電子レーザー研究者との共同研究による疑似表面プラズモンボラリトンとその応用、有機半導体を用いた動的メタマテリアルなどである。海外との連携についても、学振の二国間共同研究により電磁理論が特異なロシアのニジニ・ノブゴロド大との研究が行われ、また、試料作製に強いフランスのリール大との共同研究もスタートしている。 金属チェッカーボードパターンに関する研究では、パーコレーション、クラマース-クーニッヒ関係、バビネの原理が絡み合う興味深い現象が見出され、今後、精度の高い試料作製により、より深い物理的な理解が進むものと期待される。この応用として、超広帯域の半透鏡の作製が期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
中間評価では、プロジェクト後半においての研究ターゲットの絞り込みと海外とのより強い連携が求められている。研究ターゲットの絞り込みについては、実用的に将来重要となる2次元のメタマテリアルについての研究に重点を置く予定である。金属メッシュはドルーデ型の2次元金属と見做すことができるが、メッシュの一部を切断することにより、不純物をドープするような効果を得ることができる。メッシュの50%を切断すると、フラクタル系となり、さらに切断を増やすと絶縁体となる。これらの2次元系における多様な2次元波の性質について解明し、2次元面で自由にテラヘルツ波を制御するための基礎を築きたい。さらに2層系とすると、透磁率の制御も可能になり、2次元メタトロニクスとでも呼ぶべき分野へと展開が可能となる。3次元のバルクメタマテリアルについても、微小な金属メタ原子や微小TiO2球を透明液体に分散させる手法などを駆使して実現する。 テラヘルツ波透過率を変調するためのアクティブメタマテリアル、メタ原子を装荷したテラヘルツ波放射素子、メタマテリアルを用いたフィルターなど、テラヘルツ領域のメタマテリアルの開発も引き続き行う。非線形光学効果については、2次高調波発生や非線形伝播などについて研究を進める。 海外との連携については、これまでのロシアとの共同研究を強化するとともに、新たに始まったフランスとの共同研究を推進する。
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Research Products
(31 results)