2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Electromagnetic Metamaterials |
Project/Area Number |
22109004
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
北野 正雄 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70115830)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
酒井 道 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30362445)
出口 博之 同志社大学, 理工学部, 教授 (80329953)
久門 尚史 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80301240)
中西 俊博 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (30362461)
玉山 泰宏 長岡技術科学大学, 工学部, 助教 (50707312)
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Project Period (FY) |
2010-06-23 – 2015-03-31
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Keywords | メタマテリアル / マイクロ波 / プラズマ / 非線形現象 / 波動伝搬 |
Research Abstract |
電磁波の反射・透過及び吸収制御として、金属膜と抵抗膜を含む平面構造に関するバビネの原理の拡張を定式化し、様々な対称性をもつ自己補対メタ表面に関して成り立つ性質を分類した。 結合共振メタマテリアルの研究においては、電磁波の保存・再生の研究を発展させ保存波の周波数変換にも成功した。また、結合カットワイヤーペアメタマテリアルにおいて狭帯域な透過現象が生じることを理論および電磁界解析により発見し、非線形現象のより高効率な発生に利用できることを見出した。 気体プラズマを導入した動的メタマテリアルの研究に関しては、巨視的透磁率を負とする共振器アレイ構造に対して、大電力のマイクロ波を入射したときの負屈折率領域の動的生成(高密度プラズマ生成)現象において、誘電率の時空間分布を詳細に実験において測定し、現象が非線形に分岐し、双安定性も示すことがわかった。合わせて、最大の誘電率値は非線形機構で決まり、その空間勾配は透磁率の虚数部で制御できることがわかった。 位相定数制御のためのメタマテリアル平面回路線路の単位セル間高次モードの影響ならびにメタマテリアル導波管回路素子の構成法、および反射位相制御のためのメタマテリアル・サーフェースの4軸対称任意形状素子について、モーメント法を基にした遺伝的アルゴリズムによって数値的検討を加え、形状最適化ならびに実験によって提案する方法の妥当性の検証を行った。 単導体素子モデルを外部励振の形に拡張することにより、外部から励振を受けたメタマテリアルの時間領域解析を実現するとともに、電磁ポテンシャルによるエネルギー表現により電気回路的なエネルギーの流れを明確化した。また、導体球と導体線から成るメタマテリアルについては、放射抵抗を使うことなく遅延要素によるMaxwell方程式と親和性のあるモデルを検討し、遅延要素が抵抗としてとらえられることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
メタマテリアルを用いた電磁波の保存と再生に関しては、保存波の周波数変換といった新現象を検証することができた。また、電磁波の速度制御に関しては、マイクロ波の研究がテラヘルツ波の研究へと連続的につながったという意味でも大きな意義がある。そして、結合カットワイヤーペアのような単純な構造で狭帯域な透過現象および非線形現象の高効率な発生が実現できることを見出したという成果は、テラヘルツ波や光領域への拡張が容易という点でも本研究の目的に合致する。 気体プラズマを導入した動的メタマテリアルの研究に関しては、交付申請書に記載した内容を遂行し、おおむね予定通り進捗し、意義ある結果を得ることができた。 任意形状素子で構成される平面回路素子については、散乱行列の数値的なキャリブレーション法に基づき高次モードの影響を考慮した設計を行い、また導波管回路素子については、任意形状周波数選択膜の導波管内装荷について検討を行った。さらに、リフレクトアレー素子については、対称性を持たせた任意形状素子の設計によって性能向上が行えることを数値的・実験的評価によって確認した。 単導体素子によるモデル化において、外部励振に拡張することによりメタマテリアルと外部との結合が時間領域で評価可能になったことは、入力から出力へのモデル化において重要な要素が達成できたと言える。また、エネルギー表現としての電磁ポテンシャルを用いた表現は誘導と放射を分離して考えるうえで重要なステップと位置付けている。遅延要素による放射表現の可能性についても回路モデルに対して新しい見方を提供したと言える。 以上の点から、本研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
我々の予言した、自己補対メタ表面に関する周波数無依存応答を実験で検証する。 メタマテリアルを用いた電磁波の保存と再生に関しては、新たな方法を提案する。これまでの方法では、可変容量素子が必要になるが、新たな方法では導電率の動的変調で電磁波の保存・再生を実現する。この方法の方が高周波化に適していると考えられる。結合カットワイヤーペアメタマテリアルの研究に関しては、透過帯域幅が最小になる条件や非線形応答特性について実験的に詳しく評価し、新奇な電磁波制御素子としての 応用について検討する。 気体プラズマを導入した動的メタマテリアルの研究に関しては、当初の計画通りに遂行する。 任意形状ストリップ導体素子からなる単位セル形状によって左手系回路素子・レンズ媒質を構成するため、これらを積層した多層構造の基本動作ならびに伝送特性の制御について検討を加え、モーメント法を基にしたGAによる最適化によって広帯域化・低損失化を図っていく。そして、これらをマイクロ波回路・アンテナに応用して設計を行い、その有効性を確認する数値実験ならびに試作実験を行う。 今までに得られた電磁現象に対する3個のモデルである、単導体線路モデル、単導体素子モデル、導体球と導体線から成る等価回路モデルを結びつけることにより、メタマテリアルが外部から励振を受けてから放射するまでの作用を明確化することを試みる。特に、遅延要素と放射の関係や、外部から誘導によりエネルギーが取り込まれ、蓄積・放射されるまでの振る舞いを明確化することにより、次の構造設計問題へ展開していきたい。
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Research Products
(37 results)