2012 Fiscal Year Annual Research Report
The development and analysis of selective neuronal pathology
Project Area | Generation of synapse-neurocircuit pathology |
Project/Area Number |
22110004
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
貫名 信行 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 客員教授 (10134595)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 神経変性 / 細胞特異性 / 蛍光タンパク質 / セルソーター / ネットワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では細胞特異的プロモーターを用いて蛍光タンパク質を発現したトランスジェニックマウスから蛍光発現細胞をセルソーターによって単離し、その細胞を特異性に解析する方法(FACSアレー法)を確立することをめざす。この方法によってある遺伝子を特異的に発現する細胞群の特性を明らかにするとともに、ポリグルタミン病を疾患モデル系として細胞特異的解析を行う。本研究の目標は細胞特異的分子神経病理学の基礎をモデルマウスにおいて確立することである。またこれにより、ヒト脳における選択的ニューロン病態解析のツールを確立することである。本年度は以下の成果をあげた。 1)セルソーターで分離した4週齢のハンチントンモデルマウス線条体sodium channel beta4陽性細胞を採取しマイクロアレイ解析を行った。線条体のマイクロアレイ解析の結果と比較すると、減少する遺伝子で22.6%、増加する遺伝子で8.2%の一致が認められた。これらの一致する遺伝子にはPenk、Drd2、Gabrdなどのすでに発現低下が報告されている遺伝子のほか、Nfyaのようにこれまで4週齢のハンチントン病モデルマウスでは変化が検出されなかった遺伝子も含まれていた。また一致しない遺伝子には線条体では低発現で検出されなかった遺伝子が多く含まれていた。この結果はセルソーターでbeta4陽性細胞を濃縮したことにより、プロジェクションニューロンで変動する遺伝子が高感度に検出されたことを示している。 2)線条体で高発現しているbeta subunit4の特異的分布から、線条体中型有棘神経MSNのマーカーとなると考えられ、この分子の細胞内外のエピトープに対する抗体を作成した。有髄線維と違って軸索にびまん性に染まることから、MSNの神経突起は無髄線維であることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1)FACSアレー法に関してはほぼ技術的には完成し、得られた結果をこれまでの報告や、神経細胞特異的に発現している遺伝子の解析を行う段階まで至った。 2)線条体中型有棘神経のマーカーとしてのsodium channel beta4 subunitの抗体もいくつか得られており、一部は人ホルマリン固定脳においても使用可能であることが確認された。今後中型有棘神経細胞のマーカーとして解析可能であることが示唆されいる。また中型有棘神経細胞が無髄線維であるということの発見は今後同部位の疾患感受性を検討する上でも重要な発見であり、上記抗体の作成を含めて、今後の検討が期待される段階となった。 以上の点で、おおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
)FACS-arrayの結果をin situ, QT-PCRによって検証。 これまでの結果では線条体における遺伝子変化とFACS-Arrayによって同定された遺伝子変化はかなり異なっている。このことはFACSによってenrichされた神経細胞の変化を見ている可能性が強いが、これを確認していく必要がある。 Allen Brain Atlasのin situの結果などからFACS-Arrayで変化が見出された遺伝子が、線条体に発現していることは確認できたが、この変化をQT-PCRやin situで確認していく。またpathwayの結果などからどのカスケード関連遺伝子が変化しているか、これまでの報告と異なるものが見出されているかを検討する。これによってFACS-Arrayによって検出される新たな遺伝子群があるか、この方法の優位性は何かを明らかにする。 また変化のあった遺伝子についてhtt exon1-EGFPの190Q repeatと120Qとで比較を行い、伸長ポリグルタミンで変化するものであるか、線条体以外の細胞でも同様の変化があるかどうかについて検討する。 4) sodium channel beta4(Scn4b) subunit, Scn4b KOマウスの解析:線条体の投射線維が無髄であることを確認し、その機能異常がどのような面で現れているかを明らかにし、線条体ニューロンの特異性を明らかにする。またbeta4に対する異なるドメインの抗体を作成したので、これによってハンチントン病モデルマウス、ヒト病理切片、他の線条体神経細胞に病変をもたらす疾患の病態を解析する。
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Research Products
(7 results)