2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Integrative Research on Cancer Microenvironment Network |
Project/Area Number |
22112006
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐藤 靖史 東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (50178779)
|
Project Period (FY) |
2010-06-23 – 2015-03-31
|
Keywords | VASH1A / VASH1B / 血管新生 / 血管成熟化 / 低酸素 |
Research Abstract |
VASH1Aが血管新生を抑制するメカニズムとして、内皮細胞のαチューブリンの脱チロシン化の意義さらに明らかにするために、VEGF-VEGFR2の細胞内トラフィッキングにおける低分子量G蛋白Rab5の挙動を観察した。Rab5はVEGF-VEGFR2と共局在しており、その共局在はVASH1A刺激の有無に関わらず認められた。以上よりVASH1AがVEGF-VEGFR2の細胞内移行を阻害する作用はRab5とは関係無いことが確認され、VEGF-VEGFR2の細胞内トラフィッキングはαチューブリンの脱チロシン化によって直接的に影響を受けていることが強く示唆された。VASH受容体の単離に向けて、安定な3次元構造を取るorder領域に注目し、その部位と結合する膜蛋白のスクリーニングを開始した。VASH1には、エクソン1-7から成るfull lengthのVASH1Aとエクソン1-4から成るスプライスングバリアントのVASH1Bがある。そこでVASH1AとVASH1Bの機能を比較した。その結果、VASH1Aを腫瘍血管に発現させると、血管新生は抑制され、腫瘍は縮小したが、残った血管は成熟化して血流が保たれ、腫瘍の低酸素状態は改善した。一方、VASH1Bを発現させると、血管新生抑制と腫瘍の縮小効果は同様であったが、腫瘍血管内皮の細胞死により、未熟な腫瘍血管が残存し、血流に乏しく、腫瘍の低酸素状態は増悪し、中心壊死を来すことを明らかにした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
VASH1Aの抗血管新生作用が、内皮細胞のαチューブリン脱チロシン化に伴う血管新生因子とその受容体の細胞内トラフィックングの阻害によるという前例のないユニークな作用であることの証明に向けた研究を進展することができた。VASH1AとスプライスングバリアントのVASH1Bの機能を違いを明らかにし、VASH1Aは血管新生の終息と血管の安定化、VASH1Bは内皮細胞死を惹起して血管の退縮・刈取りに機能し、これらのバランスによって、新生血管の数と維持が規程されていることを示すことができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
VASH1Aのαチューブリン脱チロシン化に伴う作用をin vivoモデルでも提示する。またVEGF受容体以外のトラフィッキングについても示し、広いスペクトルムでの抗血管新生活性にとっての重要性を証明するとともに、VASH受容体の探索を継続する。
|