2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Mutli-dimensional fluorescence live imaging of cellular function and molecular activity |
Project/Area Number |
22113002
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松田 道行 京都大学, 生命科学研究科, 教授 (10199812)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清川 悦子 金沢医科大学, 医学部, 教授 (80300929)
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Keywords | FRETバイオセンサー / Rac1 / Cdc42 / MDCK細胞 / 脳腫瘍 |
Research Abstract |
FRETバイオセンサーを使って、三次元環境下のがん細胞での情報伝達分子の時空間制御を明らかにし、これらの分子がどのようにがん細胞の形態、浸潤を制御しているかを明らかにした。まず、MDCK細胞を用いた三次元培養系における上皮細胞がん化モデルを構築し、この系に新たに開発したRac1やフォスファチジルイノシトールリン酸のFRETバイオセンサーを導入して、がん化と情報伝達分子異常との時空間的関係を研究した。その結果、Rhoファミリー低分子量GTP結合タンパク質の内、Rac1は上皮の管腔側で活性が低く、底側面で活性が高いこと、Cdc42は全く逆の分布を取ること、が明らかとなった。一方、RhoAについては顕著な活性分布の違いは観察されなかった。次に、この活性分布以上の役割を調べるために、Rac1を全周性に活性化させたところ、癌で認められるような極性の乱れが観察できた。これは、Rac1活性の極性の乱れが癌で観察される構造異常の基盤である可能性を示唆する。また、脳腫瘍のラット脳内浸潤モデルを構築し、脳腫瘍の浸潤過程におけるGタンパク質の役割を解析した。C6グリオーマ細胞にFRETバイオセンサーを導入し、二光子励起顕微鏡で観察した。その結果、脳腫瘍の浸潤部の細胞ではRac1の活性が高く、中心部の細胞では活性が低いことが分かった。Cdc42も同様の結果であった。一方、RhoAの活性はこの逆のパターンであった。さらに3次元培養でこの結果の再現を試みたところ、Rac1とCdc42では同様の結果を得ることができたが、RhoAでは明らかな活性分布の異常は観察できなかった。さらにこのような活性分布の異常を調べるためにRac1およびCdc42の活性化因子であるDOCK9の役割をsiRNAで解析したところ、この分子が、Rac1とCdc42の腫瘍浸潤部での高い活性の維持に必要であることが分かった。
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Research Products
(9 results)