2011 Fiscal Year Annual Research Report
生体深部の可視化と操作が同時に可能な個体用in vivo2光子顕微鏡の開発と応用
Project Area | Mutli-dimensional fluorescence live imaging of cellular function and molecular activity |
Project/Area Number |
22113005
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
根本 知己 北海道大学, 電子科学研究所, 教授 (50291084)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
日比 輝正 北海道大学, 電子科学研究所, 助教 (50554292)
川上 良介 北海道大学, 電子科学研究所, 助教 (40508818)
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Keywords | 2光子顕微鏡 / がん / 神経科学 |
Research Abstract |
光学的な観察・測定法は「生きた」対象内部で(in vivo)、多種類の分子や細胞の動態を、同時かつ高時空間分解能で、計測することが可能である。2光子顕微鏡は、近赤外域のフェムト秒光パルスにより生じる2光子励起過程を利用し、他の顕微鏡法では観察が困難な生体組織深部の観察が可能である。現在、生物個体中で細胞や生体分子の非侵襲的な可視化解析が可能な方法論として最も期待されている。本研究計画では、新規レーザーや補償光学系、試料作製法の改善により、光による観察と操作を真の生体組織深部で実現するin vivo2光子顕微鏡の完成を目指した。さらに、新規蛍光タンパク質や光機能性分子の導入より、生体脳の神経伝達、分泌現象をモデルとして、生体内の分子機構を理解する新規イメージング手法を確立することも目標とした。(1)新規2光子顕微鏡法:in vivo生体脳観察のための麻酔システム、脳保定システム等を改善すると共に、新型蛍光検出器の導入を行った。その結果、世界で最深部の生体脳断層イメージングに成功し、海馬CA1ニューロンのin vivoイメージングに世界で初めて成功した。(2)収差補正の検討:昨年度の光学ファントムの成果をに基づき、さらにH-lineマウス生体脳のin vivoイメージングを実施し、特に、瞳充足率や球面収差補正量をパラメーターとして最適なレーザー照射条件の検討を行った。さらに屈折率等の試料の光学的性質や点分布関数や断層像のS/Nの変化を解析し、生体深部のin vivoイメージングにおける光学的な特性に付いて重要な知見を得た。また、ある試薬が新規透徹剤として有効である可能性を見出した。(3)がん、神経伝達に普遍的な分泌・開口放出の分子基盤の解明のための蛍光可視化系の確立:tdTomato、mCherryなどの、より蛍光波長の長い蛍光タンパク質のスクリーニングを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画以上に、世界で初めての海馬CA1ニューロンのin vivoイメージングに成功した。さらに透徹剤として使用可能な新規薬剤の発見などの成果を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度までの成果を踏まえ、当初の計画をさらに発展させ、(1)「新規2光子顕微鏡システムによin vivoイメージングの高度化と光刺激への応用」、(2)「収差補正の検討」(3)「がん、神経伝達に普遍的な分泌・開口放出の分子基盤の解明のための蛍光可視化系の確立」を重点的に推進する。十分な研究計画の遂行のため、特任助教や技術補佐員を雇用する。
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Research Products
(42 results)