2011 Fiscal Year Annual Research Report
骨の生体イメージングによる骨髄細胞・骨転移癌の遊走・分化やニッチ環境の可視化
Project Area | Mutli-dimensional fluorescence live imaging of cellular function and molecular activity |
Project/Area Number |
22113007
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
石井 優 大阪大学, 免疫学フロンティア研究センター, 特任教授 (10324758)
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Keywords | 骨髄環境 / イメージング / ケモカイン / がん幹細胞 / 細胞動態 / 細胞分化 / ニッチ |
Research Abstract |
生命システムでは「動き」が重要である。多種多様な細胞の動態は時空間的に精緻にコントロールされている。このようなシステムの研究には、従来の組織学的解析法では不十分であった。固定・薄切した組織観察では、細胞の「形態」や「分子発現」などを解析することはできるが、細胞の「動き」を解析することはできなかった。細胞の動きを見るためには、「生きた細胞」を、「生きた組織」「生きた個体」の中で観察する必要がある。本研究代表者は深部組織の観察に適した多光子励起顕微鏡を駆使して、動物を生かしたままの状態で組織・臓器を観察する研究を行ってきたが、特に、従来極めて困難であると考えられていた、生きた骨組織・骨髄腔の内部を高い時空間分解能で観察することに世界に先駆けて成功し、古い骨を吸収して骨代謝を調節する破骨細胞のin vivoでの活性制御機構を解明した。本研究ではこの方法をさらに改変・発展させ、慢性骨髄性白血病や多発性骨髄腫などの血液系悪性腫瘍の骨髄腔内での動態や、それらに対する細胞性免疫応答の可視化に取り組む。平成23年度までに、蛍光標識したbcr-abl発症白血病細胞を骨髄腔に定着させイメージングにより観察することに成功している。現在、さらに抗がん剤耐性がん幹細胞の動態やそのニッチ環境の可視化にむけて研究を進めている。また同時に、免疫不全マウスへのゼノグラフト系を用いて、がん細胞の浸潤・転移の生体多光子励起イメージングについても進めている。本研究者は浸潤する細胞を1細胞レベルで同定し、それらで高発現する分子の同定にも成功している。平成24年度以降に、これらの成果をもとに、骨組織内でのがん細胞動態を制御する分子機構・微小環境の統合的解明を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
骨髄内でのがん細胞イメージング系の確立にほぼ成功しており、5か年の全体計画の2年目終了時としては順調に経過している。
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Strategy for Future Research Activity |
当初はヒト乳がん細胞の高骨転移性株を用いた解析を目指していたが、この方法では免疫不全マウスを使用する必要があるため、抗がん細胞性免疫やそのニッチ環境との解析ができなかった。このため自家細胞を用いた血液腫瘍モデルにおいて解析を行うこととしたが、平成23年度までにほぼ実験環境を確立することが可能となった。一方で、がん浸潤の解析については免疫不全マウスを用した解析を行っており、今後の研究推進に当たっては、これらの成果を統合的に解析していく必要がある。このため、各種がん細胞やその環境の遺伝子プロファイルを解析し、比較検討することを検討している。
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Research Products
(6 results)