2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Conversion of tumor-regulation vector to intercept oncogenic spiral accelerated by infection and inflammation |
Project/Area Number |
22114002
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
畠山 昌則 東京大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (40189551)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
紙谷 尚子 東京大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (40279352)
堤 良平 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (50435872)
武藤 弘行 自治医科大学, 医学部, 准教授 (50322392)
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Keywords | 癌 / 感染症 / 細菌 / 炎症 / シグナル伝達 |
Research Abstract |
ピロリ菌がんタンパク質CagAを構成的に全身発現するトランスジェニックマウス(CagA-Tgマウス)では消化器がんが自然発症するが、その頻度は生後72週で5%程度と低い。そこでdextransulfate(DSS)を経口投与することによりマウス消化管粘膜に慢性炎症を負荷し、CagA-Tgマウスにおける消化管病変の変動を検討した。結果、CagA存在下にDSS依存的な腸粘膜炎症症状が強く増強することが明らかとなった。また、DSS投与群マウスにおいてCagA依存的な細胞がん化が促進する可能性も示されつつある。現在、マウスの匹数を増やして実験結果の再現性確認を進めている。 ピロリ菌CagAが胃上皮細胞内で標的とするSHP2ホスファターゼの新規脱リン酸化基質として核内遺伝子発現制御複合体PAFのコンポーネントのひとつparafibromin/CDC73を同定した。Parafibrominはc-Ablによりチロシンリン酸化される一方、SHP2により脱リン酸化される。チロシン脱リン酸化されたparafibrominと特異的に結合したβカテニンはWnt標的遺伝子の転写を活性化した。また、SHP2は細胞質においてRas経路を活性化することが知られているが、このRas経路活性化に依存してSHP2は細胞質から核内に移行することも明らかとなった。以上の結果から、CagA-SHP2-parafibromin経路を介するWnt依存的発がん経路の存在が示された。 胃がんは病理的に腸型とびまん型に分類される。より頻度の高い腸型胃がんの発症には、ピロリ菌感染による腸上皮化生が前がん病変として先行する。そこで腸上皮化生の発症機構をDNAmicroarray,ChIP-on-chip解析し、リプログラミング因子として知られる複数の転写因子からなる遺伝子発現ネットワークの存在を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ピロリ菌発がんにおける慢性炎症の役割がin vivoマウスモデル系においても見いだされ、マウスを用いた研究手法の妥当性が証明された。ピロリ菌発がんの新規宿主ターゲットタンパク質の単離・同定に成功した。また、炎症とピロリ菌発がんをつなぐ生化学的シグナルの本態に新たな手掛かりが得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
複数の遺伝子改変マウスモデル系を用いた感染炎症発がん実験が順調に進んでおり、これらマウスの継時的観察を粛々と進める事により個体レベルでの炎症と発がんの関連を遺伝学的・生化学的に解明するin vivoモデル系の樹立へと進展させていく。
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Research Products
(40 results)
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[Presentation] Oncogenic Mechanism of Helicobacter pylori CagA2011
Author(s)
畠山昌則
Organizer
The 21^<st> Hiroshima Cancer Seminar (HCS)/The 5^<th> Three Universities' Consortium International Symposium "Recent Progress in Carcinogenesis, Progression and Management of Upper GI Cancers"
Place of Presentation
International Conference Center Hiroshima(広島県)(招待講演)
Year and Date
2011-11-05
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[Presentation] 感染発癌の分子機構2011
Author(s)
畠山昌則
Organizer
第50回日本婦人科腫瘍学会学術集会特別講演
Place of Presentation
札幌コンベンションセンター(北海道)(招待講演)
Year and Date
2011-07-23
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