2012 Fiscal Year Annual Research Report
Development of cancer-controlling vector conversion techniques using nano-DDS
Project Area | Conversion of tumor-regulation vector to intercept oncogenic spiral accelerated by infection and inflammation |
Project/Area Number |
22114009
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
秋吉 一成 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90201285)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新屋 政春 京都府立医科大学, 医学部, 研究員 (10405277)
松田 修 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00271164) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ドラッグデリバリーシステム / ナノゲル / siRNA / 腫瘍微小環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
感染がんの発症メカニズムを理解しそれらを制御するには、その発がんスパイラル場(がん微小環境)を自在に操作する技術が必要である。そのためには、種々のサイトカインやsiRNA、miRNAなどの生理活性物質を、目的の部位、かつ必要な時間に、送達、発現、あるいは徐放させることのできるドラッグデリバリーシステム(DDS)の進展が望まれる。本研究では、申請者が独自に展開しているナノゲル工学やシャペロン機能工学を駆使することにより種々のDDSを構築し、領域内での有機的な連携により、新規ワクチンの開発とサイトカイン等の徐放制御を行い、がん微小環境の機能解明と発がんスパイラルの制御法を開発する。 VEGFは多くの腫瘍細胞から産生され、血管新生等を促すことで腫瘍微小環境の形成に重要な役割を果たす。VEGF-A特異的なsiRNA(siVEGF-A) をナノゲルで封入し、腎癌細胞株等に導入するとともに、その効果を検証した。まず培養系において、種々のナノゲルとsiVEGF-Aの複合体を、siRNAの量、反応時間、温度等を変えて作製し、Renca細胞に導入したところ、高効率のsiRNAの導入と強力なVEGF-Aの発現低下をもたらす条件を見出した。次にin vivoにおいて、ナノゲル/siVEGF-A複合体を作製し、siVEGFをRenca細胞移植後7日目のマウス腫瘍内にin vivo投与した。in vitroの実験結果と同様に、CH-CA-Speは有意なsiRNAの導入と強力なVEGF-Aの産生低下をもたらした。さらに、腫瘍移植後14日目のマウスの腫瘍内にsiVEGF-Aを、3日毎に計4回投与することで、CH-CA-Spe/siVEGF-A複合体投与群において腫瘍増殖が有意に抑制されることを見出し、ナノゲルは、siRNAを用いた腫瘍微小環境改変を可能にする強力なDDSであることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
RNAiは、特異的な遺伝子発現制御の有力な手段として、腫瘍微小環境の新しい制御技術を提供するものと期待できる。しかし、既存のDDSでは、siRNAを高効率に腫瘍内にin vivoデリバーすることはほとんどできなかった。本研究により、新規に開発したCH-CA-Speナノゲルが、腫瘍細胞へのin vitro導入と担癌マウスの腫瘍内へのin vivo導入の両方で、siRNAの高効率導入と特異的なRNAi効果の達成にきわめて有用であることが示され、当初の計画は順調に進んでいる。今後、その効率をさらに上げるナノゲルの開発を進展させ、がん治療への応用を図る。 感染がんに関するワクチン療法の開発に関しては、タンパク質ワクチン用ナノゲルデリバリーシステムはほぼ確立している。一方で、抗原タンパク質の調製も整いつつある。ピロリ菌がんタンパク質CagAのリコンビナントタンパク質の供給も可能となり、ヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV-1)関連抗原タンパク質の発現と精製も進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
申請者が独自に展開しているナノゲル工学やシャペロン機能工学を駆使することにより種々のDDSを構築し、これまでの2年間で領域内計画班員と緊密な討論を行い、一部は予備的な実験も進行している。これらの知見をもとに、今年度から更なる有機的な連携により、新規ワクチンDDS(畠山(東大)および松岡(京大))とsiRNA核酸DDS(瀬谷(北大))さらにサイトカイン、抗体等の徐放制御DDS(大島(金沢大))を用いて、がん微小環境の機能解明とそのがん微小環境を改変することによるがんの予防と治療システムを開発することに全力をつくしたい。
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Research Products
(10 results)