2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Mesoscopic neurocircuitry: towards understanding of the functional and structural basis of brain information processing |
Project/Area Number |
22115002
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
能瀬 聡直 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 教授 (30260037)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森本 高子 東京薬科大学, 生命科学部, 准教授 (10311648)
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Keywords | 神経回路 / イメージング / 光生理学 / ショウジョウバエ / 運動回路 / optogenetic / ハロロドプシン(NpHR) / 分子遺伝学 |
Research Abstract |
本研究では、ショウジョウバエ幼虫のぜん動運動を制御する中枢回路をモデルとして、神経活動がメゾ回路内を特定の時空間パターンにしたがって伝播する仕組みを明らかにすることを目指している。ショウジョウバエ幼虫のぜん動運動は前後体節間を一方向に一定のスピードで伝わる筋収縮の波である、本年度計画においては、ぜん動運動の速度の制御に重要な役割を果たす新規介在ニューロンを同定した。この細胞群はperiod-Ga14を特異的に発現し、各体節において約15個のクラスターとして存在する(per-positive segmental interneurons:PMSIsと呼ぶ)。カルシウムイメージングにおいて、PMSIsは、ぜんどう運動に伴い、前後体節間を伝わる波状の活動パターンを示した。単一細胞モザイク解析などを用いた解剖学的解析から、PMSIsは、各体節内で局所的に軸索を伸張するlocal neuronであることが分かった。シナプス間隙GFP再構築法等を用いた解析により、このニューロンはグルタミン酸作動性で、運動神経細胞に抑制的に働きかけるプレ(前)神経細胞であることが示唆された。さらに、行動中の幼虫において、チャネルロドプシンを用いてこの細胞群を活性化したところ、体壁全体の筋肉弛緩が誘導され、ぜん動運動が完全に停止した。特定の体節のPMSIsを活性化すると、それに対応した体節の筋肉の弛緩が誘導されることから、PMSIsは局所的に運動機能を阻害すると考えられる。逆に、この神経細胞群の活動を、温度感受性Shibire[ts]を用い一時的に阻害したところ、ぜん動運動の速度が半分近くに減少した。以上の結果は、PMSIsが、各体節において順次運動神経細胞を阻害することにより、運動の速さを制御していることを示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、PMSIニューロンの機能を明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
より精度の高い光遺伝学等を用いPMSIsの回路制御における機能をさらに探る。また、さらに新たな園路内の介在神経細胞を同定する。
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