2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Mesoscopic neurocircuitry: towards understanding of the functional and structural basis of brain information processing |
Project/Area Number |
22115003
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
池谷 裕二 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 准教授 (10302613)
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Keywords | 神経回路 / 発火 / シナプス / 可塑性 / 情報 / 非同期 / エネルギー / 蛍光 |
Research Abstract |
海馬CA1野において、約100-250msの持続時間を持ち、100Hz以上の高周波である特徴的な脳波「Ripple波」が観察される。SPW-Rは、記憶への関与、特に空間記憶の固定化との関わりが、多くの研究において示されてきた。記憶の固定化には、学習に関与した神経細胞の活動再生(reactivation)が重要であり、SPW-Rが空間記憶に関連する。しかし、SPW-Rの発生メカニズムやSPW-R発生時の神経細胞の活動パターンなどは詳細には明らかになっていない。海馬急性スライスのCA1野において自発的なSPW-Rが観察できる確率は極めて低かったため、本年度は、効率的に観察できる条件の検討を行った。様々な検討の結果、速い灌流速度と生体に近い温度の他に、角度をつけてスライスを作成し、かつ腹側海馬のスライスを用い、記録チャンバー内で標本の安定化を行うことで、ほぼ全ての標本で自発的SPW-Rを観察できるようになった。スライス作成部位がSPW-Rの発生に大きな影響を与えることから、何らかの投射経路が一定以上残存していることが重要であることが示唆される。SPW-R波中の個々の神経細胞の発火活動パターンを調べるために、カルシウム蛍光とLFPの同時記録を行った。海馬CAl野錐体細胞にOGB-1を負荷し、染色領域の錐体細胞層にガラス電極を静置した。50-100ミリ秒という短い時間窓で発生するSPW-Rを捉えるために、200Hzの高速イメージングを行った。細胞の発火タイミングとSPW-R発生のタイミングの関係について解析を行ったところ、SPWのピーク付近で発火イベント頻度が高くなっていることが明らかとなった。SPWイベント付近で活動した細胞のヒストグラムを作成したところ、多くの細胞はSPW付近で活動はするものの、活動する頻度は低いことが明らかとなった。つまりSPW-R中の発火活動はスパースであるといえる。
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Research Products
(2 results)