2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Mesoscopic neurocircuitry: towards understanding of the functional and structural basis of brain information processing |
Project/Area Number |
22115005
|
Research Institution | National Institute for Basic Biology |
Principal Investigator |
松崎 政紀 基礎生物学研究所, 光脳回路研究部門, 教授 (50353438)
|
Keywords | 脳・神経 / 神経科学 / 高性能レーザー |
Research Abstract |
大脳神経細胞の複雑な樹状突起構造の機能的意義は未解明である。その中でも、大脳皮質第5層錐体細胞が脳表近く第1層まで伸ばす樹状突起部位は、高次領野および視床からの入力を受けること、運動学習によって運動野第1層でのシナプス生成・消失が起こること、から、この部位でのシナプス情報統合の重要性が想定されている。しかし、その実体、機能、意義については不明である。そこで本研究では、第1層樹状突起における他領野や同一領野内の興奮性・抑制性シナプス信号の統合様式と運動出力の関係を明らかにすることを目標とする。これを微細メゾ回路演算の代表例として検証する。このために本年度は覚醒マウスにおいて第一層のスパイン活動をイメージングする実験系の構築に主眼をおいた。アデノ随伴ウイルス(AAV)の導入によって、高濃度のカルシウム感受性蛍光タンパク質を運動野錐体細胞に発現させることに成功し、単一スパイン、単一軸索における活動を蛍光上昇として捉えられることがわかった。また活動電位誘発による蛍光上昇がどのくらい活動電位数と比例関係にあるかを、電気生理学的計測と組み合わせることで現在明らかにしつつある。覚醒による脳の振動が小さいときにはイメージングが可能であったが、大きいときにはSN比の高いイメージングは難しかった。スパインは微細構造であるため、ここでイメージングするためにはイメージングの励起光の出力を上げる必要があり、これは長期イメージングの妨げになることから、より高感度の光検出器を導入し、これが有効であることを確認した。また他領野からの入力軸索を光刺激するためにChR2を発現できるAAVを実験系に導入し、また導入部位を蛍光下に確認できる系を導入した。現在これを光刺激するための条件最適化を行なっている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
。AAVによる高濃度のカルシウム感受性蛍光タンパク質導入と、単一スパイン、単一軸索における活動を2光子イメージングできるようになったのは大きな進展である。またChR2を発現できるAAVを実験系に導入し、また導入部位を蛍光下に確認できる系を導入した。より高感度の光検出器を導入できたことで、解析に必要な時間スケールでの計測ができるようになった。また他領野からの入力軸索を光刺激するためにChR2を発現できるAAVを実験系に導入した。覚醒マウス運動課題については前年度に既に確立しているので、技術的な困難さはイメージングの揺れ補正だけとなっている。
|
Strategy for Future Research Activity |
光刺激によって他領域からの入力を誘発し、これのシナプス活動を同定することを目標とする。イメージングの揺れ補正に関しては、画像処理技術を向上させること、揺れている時間を除いても必要な計測時間を確保できるように実験系を改良すること、を行なっていく。
|
Research Products
(9 results)