2011 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝学的摂動を用いた樹状突起ジオメトリーの演算原理の追究
Project Area | Mesoscopic neurocircuitry: towards understanding of the functional and structural basis of brain information processing |
Project/Area Number |
22115006
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
上村 匡 京都大学, 生命科学研究科, 教授 (80213396)
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Keywords | 樹状突起 / 神経回路 / 演算 / ショウジョウバエ |
Research Abstract |
生体中の class IV da neuronを赤外線レーザー照射により局所的に熱刺激し、樹状突起全体あるいは局所での、細胞内カルシウム濃度の変化を空間的にも時間的にも高い分解能でデータ取得できる観察系を構築した。この系では、細胞外記録法による発火頻度や発火パターンの同時計測も可能になった。この系を利用し、出力をふって赤外線レーザーを照射した際のクラスIVニューロンの発火応答を計測し、発火頻度や発火パターンを体系的に解析する準備が整えた。すでに、カルシウムトランジェント(樹状突起全体でのカルシウム濃度の上昇)を誘導する出力 (40mW) で刺激を行った場合には、高頻度の発火が間歇的に起こる特徴的な発火パターン(間歇的な発火パターン)が見られるのに対し、カルシウムトランジェントが発生しない程度の出力 (30mW) では、持続的な発火が観察されることがわかっている。また野生型に加えて、熱受容チャネルThermo TRP あるいは Painless の変異体でも、赤外線レーザーに対する発火応答を計測し、野生型との応答パターンの違いを検証した。さらに、樹状突起のカルシウムトランジェントがどのようなメカニズムで生じているのかを調べるために、全ての電位依存性カルシウムチャネルのαサブユニットおよび、細胞内カルシウムストアのチャネルの変異体をスクリーニングし始めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
生体内において感覚細胞の、熱刺激依存的な細胞内カルシウム濃度の変化を空間的にも時間的にも高い分解能でデータ取得でき、かつ発火頻度や発火パターンを同時に計測できる系を構築できた。この計測系を利用し、種々の変異体での感覚細胞の応答を定量的に比較できるようになった。
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Strategy for Future Research Activity |
class IV da neuronの発火応答が野生型細胞とは異なる突然変異体が見つかれば、その変異体での熱刺激に対する忌避行動が影響を受けているのかどうかを調べる。一方で、class IV da neuronは、熱刺激に加えて、紫外線に対するセンサーとしても働く事が報告されているので。間歇的な発火パターンが高温侵害覚受容に固有のものであるかを調べるため、クラスIVニューロンを紫外線で活性化した場合の発火パターンを観察する。
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