2012 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝学的摂動を用いた樹状突起ジオメトリーの演算原理の追究
Project Area | Mesoscopic neurocircuitry: towards understanding of the functional and structural basis of brain information processing |
Project/Area Number |
22115006
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
上村 匡 京都大学, 生命科学研究科, 教授 (80213396)
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Project Period (FY) |
2010-06-23 – 2015-03-31
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Keywords | 樹状突起 / 神経回路 / 演算 / ショウジョウバエ |
Research Abstract |
ショウジョウバエ幼虫の一次感覚ニューロンであるClass IV dendritic arborization neuron (Class IV neuron)は、異なるチャネルを介して熱・(紫外光や青色光などの短波長の)光・機械の3種類の侵害性の物理刺激に対して応答するポリモーダル性をもっており、各々に対して特定の忌避行動を惹起させる。このうち高温刺激に対しては体全体を横方向に素早く回転させる運動(熱忌避行動/回転行動)が生じ、短波長の光に対しては頭部を左右に動かして進路を方向転換させる光忌避行動(首振り行動)が生じる。我々は、この2つの異なる応答行動が惹起される過程に、Class IV neuron自体での演算処理が寄与していると想定した。Class IV neuronを赤外線レーザーにより熱刺激をおこなうと、L型カルシウムチャネル依存的なカルシウムスパイクの発生が見られ、その際には高頻度発火とそれに続く発火停止という特徴的な発火パターン(burst and pause型発火パターンと呼ぶ)が生じていることをすでに明らかにした。一方、Class IV neuronを光刺激した際には burst and pause型発火パターンは見られなかった。これらの生理的応答の差異から、熱刺激の伝達には光刺激のそれとは異なって、カルシウムスパイクによる発火停止期形成が関与している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
神経活動を細胞外記録法でモニターする系の立ち上げに、予想外に時間を要したが、現時点では再現性よく記録できるようになった。
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Strategy for Future Research Activity |
我々の研究結果から、burst and pause型発火パターンが熱忌避行動(回転行動)を、発火停止期を伴わない発火頻度の上昇が光忌避行動(首振り行動)をコードし、下流でデコードされている仮説を立てた(pause-coding 仮説)。光遺伝学の手法を用いてこの仮説を検証する。
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Research Products
(7 results)