2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Mesoscopic neurocircuitry: towards understanding of the functional and structural basis of brain information processing |
Project/Area Number |
22115013
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
深井 朋樹 独立行政法人理化学研究所, 脳科学総合研究センター, チームリーダー (40218871)
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Project Period (FY) |
2010-06-23 – 2015-03-31
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Keywords | 脳・神経 / 情報工学 / ハイパフォーマンスコンピューティング / アルゴリズム / モデル化 |
Research Abstract |
メゾ回路モデル:大脳皮質神経回路はさまざまな非ランダムな特徴をもつことが知られている。興奮性シナプス強度の対数正規分布を取り入れた神経回路モデルに、密に結合したニューロン・クラスターを導入すると、実験的に知られている結合の統計性がよく再現できることを示した。またニューロモルフィック技術の発展を促すため、このような神経回路の発見とその情報処理の特徴を、工学者向けに紹介するレビューを執筆した。興奮性シナプスの可塑性と、抑制性シナプスの可塑性の協同によって、複数のシナプス経路から特定の経路を入力依存に選択する機構を理論的に提案し論文発表した。さらに大脳皮質局所神経回路が刺激依存にセル・アセンブリを自己組織化し、安定の保持するためには、対数型STDPとシナプスの短期可塑性が強調して働く必要があることを理論的に証明した(論文投稿中)。また、リカレント神経回路を用いて入力情報を確率的にサンプリングし、ベイズ推定を行うためのメカニズムを複数検討した。この結果については、もう少し理論的な理解を深める必要がある。 データ解析法:多細胞記録実験のスパイク分離手法の第一段階であるスパイク検出は今まであまり検討されてこなかった。そこでベイズ推定を用いて検出されたピーク信号がスパイクである確率を推定することで、信頼度を最適に調節しながら検出する手法を提案した。内部状態モデルによってスパイク発火の非定常性を加味した情報幾何学的手法を用い、運動野の多細胞記録データに見られる同期や相関構造を解析し、層依存の効果を見出した。光計測により得られた画像信号の時系列から、数百個の神経細胞の位置とCa2+活動を同時に正確に同定する手法を完成させた(論文を執筆中)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
メソ回路モデルでは、大脳皮質局所回路の非ランダムな構造を説明できる配線の統計的モデルを見出すことに成功した。また層構造を取り入れたカラム神経回路モデルについても、共同研究が進んでいる。一方、ニューロン集団のデータ解析手法の開発については、リニアプローブ記録のデータからスパイク分離する方法の開発に成功したが、神経集団の発火活動の特徴を検出する手法には弱点が残っており、本質的解決をみるまでに至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
方法論の開発が遅れていること、また神経ビッグデータの扱いが大きな課題になっている現状に鑑み、データ解析手法の開発に注力する。そのため、仮説フリーな方法論の開発を一旦中止し、神経集団のスパイク時系列の検出に特化した方法の開発を、今までどおりのカーネルPCAと、それとは全く別の方法にもとづいて進める。またカルシウム・イメージングのデータから自動的にスパイク活動と神経集団の位置情報を推定する手法を完成させる。
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Research Products
(20 results)