2013 Fiscal Year Annual Research Report
モデル生物を用いた生理活性リゾリン脂質機能の包括的研究
Project Area | Machineries of bioactive lipids in homeostasis and diseases |
Project/Area Number |
22116004
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
青木 淳賢 東北大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (20250219)
|
Project Period (FY) |
2010-06-23 – 2015-03-31
|
Keywords | リゾリン脂質 / リゾホスファチジン酸 / GPCR / ゼブラフィッシュ |
Research Abstract |
【目的】生理活性脂質リゾホスファチジン酸(LPA)機能をモデル生物であるゼブラフィッシュを用い解析する。 【方法・結果】ATX mRNAを投与したゼブラフィッシュ胚では心臓が左右2カ所に現れる二股心臓の表現型と尾部の水腫が観察された。発生過程において心筋前駆細胞は左右の二カ所に形成され、体軸中央に向かって遊走および融合することで1つの心臓が形成される。心臓は拍動していることから、二股心臓は心筋の分化の異常ではなく、細胞遊走の異常に起因するものとかんがえられる。二股心臓と尾部水腫の表現型は、酵素活性を有さない変異体ATX(T205A)mRNA投与時には観察されなかった。次に、ATX機能亢進時に観察される表現型の作用機序を明らかにするために、同様の表現型を示す既存の変異体に注目した。生理活性脂質スフィンゴシン-1-リン酸(S1P)の受容体(S1P2)、およびS1Pのトランスポーター(Spns2)の変異体は、ATX過剰発現時に観察された表現型(二股心臓および尾部の水腫)を示す。そこでATXとS1Pシグナリングの機能的関連性を明らかにするために、S1P2あるいはSpns2 MOとATX mRNAを同時に投与したところ、二股心臓の表現型が相乗的に増強された。 【考察】ATXの機能を抑制あるいは亢進時に、それぞれ血管形成異常あるいは二股心臓の表現型を見いだした。今後はこの表現型を指標にATXの詳細な生体内の作用機序に迫りたい。また私はATX-LPAシグナルとS1Pシグナルの心臓における機能的関連性をゼブラフィッシュおよびマウスで初めて見出した。血中のATX活性、および組織中のATX発現量が増大する様々な病態がこれまでに明らかになっていることから、今回見出したATX-LPAシグナルとS1Pシグナルの機能的関連性がこれらの病態に関与しているかを今後検証したい。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
モデル生物であるゼブラフィッシュを用い、生理活性脂質リゾホスファチジン酸(LPA)の血管形成における機能解明が進んでいる。また、本研究の目的の一つである、リゾリン脂質に特化した脂質解析拠点として、さまざまな共同研究者や依頼サンプルの質量分析解析を実施するなど、研究は概ね順調に進んでいると判断する。
|
Strategy for Future Research Activity |
引き続き、脂質解析拠点としてリゾリン脂質分析を進めるとともに、今年度は最終年度として成果を論文としてまとめる。
|
Research Products
(7 results)