2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Machineries of bioactive lipids in homeostasis and diseases |
Project/Area Number |
22116007
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
川原 敦雄 独立行政法人国立循環器病研究センター, 細胞生物学部, 室長 (10362518)
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Keywords | 脂質メディエーター / ゼブラフィッシュ / 脂質輸送体 / スフィンゴシン-1-リン酸 / 心臓発生 |
Research Abstract |
私は、心臓前駆細胞の移動異常により二股心臓の表現型を示すゼブラフィッシュ変異体の機能解析から、原因遺伝子であるSpns2分子がスフィンゴシン-1-リン酸(S1P)の輸送体として機能することを明らかとした。本研究では、初期発生におけるS1Pの生理機能の全貌を明らかにすることを目的としている。平成22年度は、以下の研究成果が得られた。 1. ゼブラフィッシュのS1P合成酵素(SphK1,SphK2)およびS1P受容体(S1PR1-S1PR5)の単離を行った。初期発生における発現パターンを解析した結果、S1P合成酵素は、母性遺伝子として供給されており原腸胚期まで胚全体に発現していることが明らかとなった。これに対して、S1P受容体(S1PR1-S1PR5)は、それぞれ特徴的な発現パターンを示しており、様々な器官形成に関与していることが示唆された。 2. S1Pシグナルと接着分子であるフィブロネクチン(Fn)との遺伝学的な関連性を解析した。Spns2変異体とFn変異体の2重変異体を作製した。Fn変異体は、心臓の形態異常を示すが、正中線への移動異常はほとんど示さない。Spns2変異体の心臓前駆細胞の移動異常は、Fnとの2重変異体とすることによりその移動異常が増強された。このことは、S1Pシグナルとフィブロネクチンが相互に心臓前駆細胞の移動や心臓の形態形成を制御していることを示唆している。 3. Spns2発現抑制胚、S1PR2発現抑制胚およびコントロール胚からRNAを調整し、マイクロアレイ解析を行った。その結果、34遺伝子の発現の挙動がS1Pシグナル異常で大きく変動していた。脂質代謝に関与する遺伝子(アポリポタンパク質やホスホリパーゼC等)も含まれているので、今後、定量PCR法を用いSpns2変異体での発現を調べ、同定された候補遺伝子は、発現抑制実験を行うことによりS1Pシグナルとの関連性を明らかにする。
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[Journal Article] Metalloprotease-dependent onset of blood circulation in zebrafish2010
Author(s)
Iida A., Sakaguchi K., Sato K., Sakurai H., Nishimura D., Iwaki A., Takeuchi M., Kobayashi M., Misaki K., Yonemura S., Kawahara A., Sehara-Fujisawa A.
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Journal Title
Current Biology
Volume: 20
Pages: 1110-1116
Peer Reviewed
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