2010 Fiscal Year Annual Research Report
Aktキナーゼによるアクチン結合蛋白Girdinのリン酸化修飾と疾患
Project Area | Regulation of signal transduction by post-translational modifications and its pathogenic dysregulation |
Project/Area Number |
22117005
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
高橋 雅英 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (40183446)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
榎本 篤 名古屋大学, 高等研究院, 講師 (20432255)
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Keywords | Akt / Girdin / 細胞運動 / 神経新生 / 海馬 / 嗅球 / ノックアウトマウス / ノックインマウス |
Research Abstract |
Aktキナーゼの基質でアクチン結合蛋白Girdinの生体内での機能を解明するため、ノックアウトマウスを作製し、研究を進めた。Girdinのノックアウトマウスは中枢神経系において、海馬歯状回の神経前駆細胞の位置異常と嗅球の形成異常を認めた。嗅球の形成異常は脳室下帯で発生する神経前駆細胞が嗅球に向かって移動する過程が遅延することが原因で、その経路であるrostral migratory stream (RMS)の幅が著しく拡大していた。本年度はノックアウトマウスにおける嗅球の形成異常をより詳細に解析を行ったところ、RMSにおける神経前駆細胞のchain-migrationに異常があることが判明した。野生型とノックアウトマウスのRMSを培養することにより神経前駆細胞の遊走能をin vitroで観察した結果、野生型のRMSからは生体内でのchair-migrationと類似の移動様式を示したのに対し、ノックアウトマウスのRMSからは神経前駆細胞の移動をほとんど認めなかった。これらの異常を引き起こすメカニズムをさらに解明する目的で、1)GirdinのAktによるリン酸化部位に変異を導入したノックインマウス(S1417Aマウス)と2)Girdinの脂質結合部位(おそらく膜結合部位)に変異を導入したノックインマウス(Basic-mutマウス)を作製し、解析を行った。興味あることにS1417Aマウスでは中枢神経系に明らかな異常を認めず、Aktのリン酸化が重要な役割を果たしていないことを示唆した。一方、Basic-mutマウスではノックアウトマウスと同様な中枢神経系の異常を生じ、Girdinの細胞膜への局在が海馬歯状回や嗅球の形成に重要であることが明らかになった。またノックアウトマウスは生後25目までにすべて死亡するのに対し、Basic-mutマウスでは40%以上マウスが2カ月以上生存することから、Basic-mutマウスを用いてGirdinの神経系における役割をより詳細に解析できる可能性がある。
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