2010 Fiscal Year Annual Research Report
直鎖状ポリユビキチン化修飾による新たなNF-κB活性化機構と病態との関連
Project Area | Regulation of signal transduction by post-translational modifications and its pathogenic dysregulation |
Project/Area Number |
22117006
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
徳永 文稔 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (00212069)
|
Keywords | 蛋白質 / 酵素 / 癌 / 細胞・組織 / ユビキチン |
Research Abstract |
我々はHOIL-1L/HOIP複合体(LUBAC)がユビキチンのN末端を介して直鎖状ポリユビキチン鎖という新規結合型のポリユビキチン鎖を形成し、生理的には古典的NF-KB経路の活性化を導くことを明らかにした(Nature Cell Biol.2009)。さらに本研究において我々は、SHARPINというHOIL-1Lに相同性を持つタンパク質が、HOIL-1L/HOIPとともに細胞内で三者複合体を形成することを同定した。SHARPIN/HOIL-1L/HOIP複合体が生理的な直鎖状ポリユビキチン鎖形成リガーゼ複合体(LUBAC)として機能する。さらに、cpdmマウスと呼ばれるSHARPINの自然変異マウス由来細胞ではSHARPINの欠損によりLUBACの他のコンポーネントであるHOIL-1LやHOIPの発現が低下することで、TNF-αやCD40刺激に伴うNF-KB活性化が減弱することを明らかにした。すなわち、直鎖状ポリユビキチン化はその異常が種々の疾患と関連するNF-KB活性化に必須な翻訳後修飾であることが明らかとなった(Nature,2011)。本研究をさらに進展させるために、LUBACによる直鎖状ポリユビキチン鎖形成を介したNF-KB活性化を特異的に抑制する脱ユビキチン化酵素(DUB)の検索を行った。細胞内にDUBは100種程度存在し、これをそれぞれノックダウンし、LUBAC活性変動を解析したため研究計画に3ヶ月の遅れを生じた。しかし、平成23年4月より研究支援者を雇用することができたため研究が進展し、LUBAC制御に関わるDUB候補の絞り込みが完了した。現在、NF-KB制御における生理的重要性の解明を進めている。
|