2013 Fiscal Year Annual Research Report
直鎖状ポリユビキチン化修飾による新たなNF-κB活性化機構と病態との関連
Project Area | Regulation of signal transduction by post-translational modifications and its pathogenic dysregulation |
Project/Area Number |
22117006
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
徳永 文稔 群馬大学, 生体調節研究所, 教授 (00212069)
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Project Period (FY) |
2010-06-23 – 2015-03-31
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Keywords | 酵素 / タンパク質 / 細胞・ 組織 / シグナル伝達 / 免疫学 |
Research Abstract |
申請者らは、ユビキチンリガーゼ複合体(LUBAC)がユビキチンのN末端を介する新規直鎖状ポリユビキチン鎖を生成することで炎症や免疫制御に重要なNF-κBシグナル経路を制御することを同定した。さらに、LUBAC活性を抑制する脱ユビキチン化酵素としてA20を同定し、A20が7番目のzinc finger (ZF)を介して直鎖状ユビキチンに結合すること、A20-ZF7の直鎖状ユビキチン結合部位の変異はB細胞リンパ腫発症に関連することを石谷班との共同研究として報告した。 平成25年度には、さらに石谷班との共同研究として、細胞内に侵入したDNAウイルスの識別に重要な働きをすることが明らかになったヒトcyclicGMP-AMP合成酵素(cGAS)の構造と機能の解明を行い、X線結晶構造解析によってcGASにおいてDNA認識に重要と示された塩基性アミノ酸クラスターやZnフィンガー領域が、インターフェロン産生やNF-κB活性など生理機能発現に重要であることを示し、PLoS One誌に発表した。また、LUBAC活性を制御する新規タンパク質群の精製を進め、井上・尾山班の高精度質量分析技術によって含有タンパク質を同定した。これらのタンパク質のLUBAC結合性やNF-κB活性発現に与える影響を解析し、著明に活性亢進を導くLUBAC結合タンパク質を二種見出した。さらに、これらの遺伝子をノックアウトした細胞をCas9/CRISPR法によって構築し、各種リガンド刺激によって誘導されるNF-κB活性化経路の解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度には共同研究を含めて3報の論文発表を行っており、今後進展が期待できる研究成果も得られた。発表に結びつけるまでには時間は要するが、興味深い展開が可能と考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度には直鎖状ユビキチン化を介したNF-κB活性制御の解明と病態として申請者らと領域内共同研究により次の項目を解析する。①井上・尾山班のプロテオミクス解析によりLUBAC結合性タンパク質群の同定をさらに進め、機能解析を行う。新規シグナル制御因子の場合、ノックアウトマウスの作製を進める。②直鎖状ポリユビキチン鎖結合ドメインを含有するoptineurinなどの生理機能解析を行い、直鎖状ユビキチン認識の構造基盤を石谷班のX線結晶構造解析によって明らかにするとともに生理機能相関を解明する。③直鎖状ユビキチンを標的として、癌、炎症性疾患、自己免疫疾患、生活習慣病などに対する新規抗癌剤スクリーニングに着手する。
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