2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Integrated analysis of strategies for plant survival and growth in response to global environmental changes |
Project/Area Number |
22119007
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
芦苅 基行 名古屋大学, 生物機能開発利用研究センター, 教授 (80324383)
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Project Period (FY) |
2010-06-23 – 2015-03-31
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Keywords | 浮きイネ / 環境適応 |
Research Abstract |
東南アジアのデルタ地帯に生育する浮きイネは、通常の栽培条件では1m 程度の草丈ですが、水位の上昇に応答して茎を伸長させ水面に出た葉から酸素を得ることにより、洪水環境下で生き抜くことができます。これは、移動することの出来ない植物が節間伸長性を利用して過酷な環境を突破した一例です。本研究ではこの浮きイネの節間伸長の分子メカニズムを明らかにすることを目的としています。2013年度には、(1)浮イネの深水依存的な節間伸長性を発揮できるタイミングを明らかにした。また、これまでに見出した3つの主要なQTLとジベレリンの関係を明らかにした。(2)浮イネが一般的なイネと異なりジベレリン高感受性であることを見出すとともに、遺伝学的な解析を行い浮イネのジベレリン応答性を制御するQTLを見出した。(3)イネ第1染色体に座乗する浮きイネQTLを同定するために、ポジショナルクローニング法を用いてQTL座乗領域を約30kb領域に特定しました。この領域に2つの遺伝子が座乗しており、その1つがGA合成酵素遺伝子のGA20酸化酵素遺伝子(GA20ox2)であり、原因候補遺伝子と解析を勧めている。(T65)では深水依存的なGA20ox2の発現上昇が見られないのに対して、浮イネでは深水条件もしくは、エチレンの投与によってGA20ox2の発現が著しく上昇することが明らかとなり、この発現の差はT65と浮イネのGA20ox2プロモーター領域の配列の違いに起因していると推測された。(4)イネ第3染色体に座乗する浮きイネQTLの同定を目的としたポジショナルクローニングを進め、1つの候補遺伝子を見いだしSnorkel3と名付けた。T65ではSnorkel3に1bpの欠失があることでフレームシフトが生じ機能を欠損していると推測された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
浮きイネの深水依存的な節間伸長を制御する遺伝子の同定を大きな目標にしていたが、その2つの遺伝子の同定にほぼ成功しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度には、まず、第1染色体に座乗する浮きイネQTLに関しては、浮きイネのGA20ox2遺伝子をT65に導入した形質転換体の作成及び機能獲得の有無の検証、さらに、トランジェントアッセイ等を用いた詳細な発現機構の解析を行う。また、イネ第3染色体に座乗する浮きイネQTLについても分子生物学的手法を用いて機能解析も進める。
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