2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Integrated analysis of strategies for plant survival and growth in response to global environmental changes |
Project/Area Number |
22119008
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
経塚 淳子 東京大学, 農学生命科学研究科, 准教授 (90273838)
|
Project Period (FY) |
2010-06-23 – 2015-03-31
|
Keywords | イネ / 腋芽 / 休眠 / 遺伝子発現 / マイクロアレイ解析 |
Research Abstract |
植物は成長段階や環境条件に応じてその形態や大きさを変化させる。分枝パターンの調節は、植物の環境と調和した成育にとって重要である。分枝は葉の腋につくられる腋芽が成長したものであるが、腋芽は環境条件が整はない場合は活動を再開するポテンシャルを備えた状態で休眠する。したがって、腋芽休眠現象を解明することは成長戦略の理解に不可欠であり「環境突破力」の根幹となる基礎的知見となる。また、穂の分枝制御は収量に直結する重要な課題である。そこで本研究では、腋芽の休眠の制御と穂の分枝の制御に関して解析を続けてきた。 まず、腋芽休眠の詳細な観察から、腋芽休眠時においてもメリステムからは葉の分化が続くが、形成された若い葉での細胞分裂が抑制されるために腋芽が伸びないことを見出した。さらに、休眠状態を解除できる実験系を確立し、休眠解除処理から3時間後には若い葉での細胞分裂が回復することが分かった。 腋芽休眠をコントロールする仕組みを遺伝子レベルで理解するために、腋芽の休眠開始、休眠解除、腋芽のホルモン応答などにおける遺伝子発現変動の網羅的解析を進めた。当該年度においては、腋芽休眠に伴う遺伝子発現を明らかにするためのマイクロアレイ解析を終了した。その結果、腋芽休眠時には、細胞周期、リボソーム、植物ホルモンであるアブシジン酸、ジャスモン酸などに関わる遺伝子の発現が顕著に変化することを見出した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
植物の枝分かれのもとになる腋芽の伸長/休眠を決定する遺伝子に関する情報が得られた。本研究では休眠開始のタイミングに限定し、さらに腋芽だけをサンプリングしたことから、腋芽休眠という現象に特異的な遺伝子発現情報を収集したという点が意義深い。
|
Strategy for Future Research Activity |
まず、得られえた遺伝子情報を詳細に検討し、重要と考えられる遺伝子群に対して個別に機能解析を行う。また、アブシジン酸やジャスモン酸の関与が示唆されたことから、これらの植物ホルモンと腋芽の休眠の関連を解析する。さらに、休眠からの成長回復時の遺伝子発現変化や種子の休眠における遺伝子発現変化などを解析し、腋芽休眠との関連を解析する。
|