2012 Fiscal Year Annual Research Report
Molecular mechanisms underlying phase transition of cell proliferation during root growth
Project Area | Integrated analysis of strategies for plant survival and growth in response to global environmental changes |
Project/Area Number |
22119009
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
梅田 正明 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 教授 (80221810)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 根 / 成長 / 細胞周期 / エンドサイクル / 環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
エンドサイクルへの移行機構を解明する目的で、根の分裂領域と伸長領域の境界から発現し始めるCCS52A1の遺伝子発現を制御する転写因子の単離・同定を行った。その結果、サイトカイニンのシグナル伝達に関わる転写因子型レスポンスレギュレーターARR2がCCS52A1プロモーターに結合し、転写を活性化することが示された。根において、サイトカイニンはオーキシンと拮抗的に作用することにより、細胞分裂から分化への移行を促進することが報告されている。そこで、arr2, ccs52a1変異体およびこれらの過剰発現体の組み合わせで、サイトカイニンやオーキシン存在下・非存在下における分裂領域の長さを測定した結果、サイトカイニンにより活性化されたARR2がCCS52A1の発現を誘導することにより、エンドサイクルへの移行を促進することが示された。以上の結果から、エンドサイクルへの移行にはCCS52A1を介して細胞周期因子が分解されるのが必要であることが明らかになった。 本研究ではS期マーカーを作成し、M期マーカーと合わせてリアルタイムイメージングに用いることにより、組織レベルの細胞周期モニタリング系を構築している。これまでの解析から、DNA複製のライセンシングに関わるCDT1a遺伝子が、発現の開始およびタンパク質分解による消失という二点においてS期マーカーとして有効であることが示された。しかし、CDT1aのプロモーター活性が低すぎて蛍光イメージングに向かないことが明らかになったため、ヒストンをコードするHTR2Gのプロモーターに入れ換えたところ、強い蛍光を発するマーカー遺伝子を作成することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
エンドサイクルへの移行機構について新たなメカニズムを明らかにすることができ、また細胞周期をモニタリングするためのレポーター遺伝子をほぼ完成することもできた。したがって、概ね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究から、サイトカイニンシグナルによりエンドサイクルへの移行が実現する機構の全容が明らかになった。今後は、エンドサイクルへ移行した細胞がどのような過程を経て細胞成長を遂げるのか、その分子メカニズムを明らかにしていく。また、ARRの発現制御機構を解析することにより、移行領域の決定機構についても迫っていきたい。細胞周期モニタリング系の確立はシロイヌナズナにおいては概ね済んだので、今後は細胞タイプによる細胞周期進行の差異やアルミニウムやホウ素が与える影響についてイメージング解析を進めていく予定である。
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Research Products
(10 results)