2013 Fiscal Year Annual Research Report
植物の低温耐性獲得および喪失における温度刺激・応答機構の高時空間分解解析
Project Area | Environmental sensing of plants: Signal perception, processing and cellular responses |
Project/Area Number |
22120003
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
上村 松生 岩手大学, 農学部, 教授 (00213398)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河村 幸男 岩手大学, 農学部, 准教授 (10400186)
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Project Period (FY) |
2010-06-23 – 2015-03-31
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Keywords | 植物 / 環境応答 / シグナル伝達 / 遺伝子 / 凍結耐性 |
Research Abstract |
1. 低温馴化で、特に、青色光がクリプトクロム経由で凍結耐性上昇に関与することが示された。この青色光による凍結耐性上昇は、既報のCBF経路とは異なるものであることを示唆する結果が得られた。 2.低温誘導性遺伝子のプロモータ領域にルシフェラーゼをつないだコンストラクトを用いて形質転換体を作成し、時空間的発現解析を行った。その結果、COR15は、11℃以下のいずれの温度域においても発現パターンは光周期の影響を受けたが、5℃以上と2℃での発現パターンは大きく異なっていた。また、DCMU処理によりCOR15の発現は大きく低下し、光周期による特徴的な発現パターンも消失した。このことは、少なくとも、COR15aの発現は、葉緑体から何らかの制御を受けている可能性を示唆するものである。 3.カルシウムセンサー蛍光タンパク質YC3.6を発現するシロイヌナズナおよび低温顕微鏡を用いて、低温受容におけるカルシウムシグナルの役割の検討を行った。根を用いた観察では、低温に応答したカルシウムシグナルがとらえられ、また、このシグナルは冷却速度の影響を受けることが明らかとなった。一方、ERの凍結挙動観察については、定量化のための速度解析を進めた。 4. 様々な植物を用いて、低温馴化および脱馴化における細胞膜および細胞膜マイクロドメインプロテオーム解析を行った。特に、GPIアンカー型タンパク質と呼ばれるタンパク質群が低温馴化前後において特徴的に変動していた。さらに、シロイヌナズナより細胞膜GPIアンカー型タンパク質画分およびアポプラスト画分を回収しプロテオーム解析を行ったところ、低温馴化過程で変動する多数のGPIアンカー型タンパク質を同定することに成功した。さらに、同定されたものの中でいくつかのT-DNA変異体を取り寄せ、凍結耐性試験を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初研究計画に基づき各研究項目で順調にデータが得られている。プロテオーム解析では、低温馴化過程だけではなく脱馴化過程の解析にも着手することができた。また、いままで解析が行われてこなかったGPIアンカー型タンパク質組成の網羅的解析にも成功し、現在まとめている論文が掲載されれば、基礎的な生物学にも貢献することができる。一方、ルシフェラーゼ発現形質転換体のEMS処理による突然変異体の作製はまだ手つかずの状態である。その理由は、ルシフェラーゼ発現形質転換体の解析で様々な情報が得られており、その確認と解析に時間を要しているためである。しかし、得られた結果は非常に興味深く、更なる解析を行う価値はあると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
おおよそ当初計画に基づいて最終年度の研究を推進する。一部、ルシフェラーゼ発現形質転換体のEMS処理による突然変異体作成については、変異を起こす前の植物体を用いた解析により、興味深いデータが多く得られており、その確認と解析に時間を要するものと考えられる。十分に解析を行った上でEMS変異体解析に進む予定であり、材料の策質などの準備を進めることとする。
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Research Products
(37 results)
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[Presentation] 細胞膜と寒冷適応2013
Author(s)
上村松生
Organizer
第77回日本植物学会大会(シンポジウム講演)
Place of Presentation
北海道大学、札幌
Year and Date
20130913-20130915
Invited
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[Book] Shotgun proteomics of plant plasma membrane and microdomain proteins using nano-LC-MS/MS. Methods in Molecular Biology (Plant Proteomics: Methods and Protocols, 2nd Ed, Novo JVJ, Komatsu S, Weckwerth W, Wienkoopeds S, eds)2013
Author(s)
Takahashi D, Li B, Nakayama T, Kawamura Y, Uemura M.
Total Pages
786 (481-498)
Publisher
Springer Science+Business Media, LLC
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