2012 Fiscal Year Annual Research Report
Molecular structure and function of molecules involved in environmental sensing of plants.
Project Area | Environmental sensing of plants: Signal perception, processing and cellular responses |
Project/Area Number |
22120005
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
徳富 哲 大阪府立大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (90142009)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉原 静恵 大阪府立大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (20382236)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 植物光受容体 / フォトトロピン / クリプトクロム / フィトクロム / 光反応 / 分子構造 / 構造変化 / シグナル伝達 |
Outline of Annual Research Achievements |
植物は様々な環境要因に適切に応答して、発芽・成長し、光合成を効率よく行い、開花・結実して子孫を残す。光合成を行う植物にとって光は環境情報の中でも特に重要である。当班では、これまでの研究成果を基に光環境感覚に注目し、植物光受容体の分子構造と機能、光受容・シグナル伝達機構の解明を目指している。 1)青色光受容体の一つフォトトロピン(phot)の光受容分子機構の研究を行い、以下の成果を上げた。a)昨年度、京大長谷班と共同で行ったクラミドモナスphotに関する研究をさらに進めて全長の純品試料の作成に成功し、慶應大中迫班と共同でX線小角散乱による構造解析を行い、これまでに情報の無かった二つの光受容ドメインLOV1とLOV2の分子内配置などを明らかにした。b)シロイヌナズナphotの光シグナル伝達因子考えられる、RPT2やNPH3とphot1との相互作用の分子基盤解析のため、これら3種類の遺伝子発現系による調製を行い、初歩的な結果を得た。c)昨年度シロイヌナズナphot2のLOV2キナーゼ試料のX線小角散乱による構造解析を行ったが、さらに結晶構造解析を目指し結晶化条件のスクリーニングを行った。 2)昨年度、シロイヌナズナphot2のシグナル伝達に関わる因子の研究から、新たにフィトクロムA(phyA)シグナル伝達とのクロストークに関わると考えられる因子を見つけたが、その同定や機能解析に関する研究を行った。 3)昨年度、シロイヌナズナ・フィトクロム(phy)の分子構造と機能解析を目指してphyBのN-末端発色団ドメインの大腸菌遺伝子発現系によるホロタンパク質発現系の構築を開始し、動的光散乱測定により単ピークを示す高純度試料調製に成功し結晶化条件スクリーニングを開始したが、条件の絞り込みを行い結晶様物質を得るまでに至った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度予定していた1)photに関する研究の、a)フォトトロピンキナーゼの光制御機構解析および、b)フォトトロピン高次構造解析に関しては、研究実績の項で述べた様に大きな研究成果を上げ、その内の幾つかは論文発表を行い、結晶構造解析に向け現在も研究が進展中である。2)のphyBのX線結晶構造解析に関しては、結晶化条件スクリーニングが絞り込まれ結晶様物質を得たが、残念ながら構造解析に耐えうるX線散乱パターンを示さず、さらに結晶化条件のリファインを行っている。さらにPr→Pfr光変換にともなう構造変化を調べるために、Pfr型の分子構造をもつと考えられるアミノ酸置換体純品の調製にも成功し、そのスクリーニングも開始した。3)シロイヌナズナのphyAとphot2のシグナル伝達クロストークに関わると考えられる因子に関する研究では、この因子の同定をほぼ行い、さらにその機能解析を継続中である。これに加えて、予定していなかった公募研究阪大の久富班と共同で、フシナシミドロ青色光受容体オーレオクロム1のCDやSECによる分子構造研究を行い、光反応にともなう二次構造変化などを検出し、論文発表に貢献した。
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Strategy for Future Research Activity |
1)シロイヌナズナphotに関する研究。a)phot高次構造解析:既にシロイヌナズナLOV2からキナーゼドメインを含む試料およびクラミドモナス全長試料のX線小角散乱による解析に成功したが、クラミドモナスphotとシロイヌナズナphotはそのオリゴマー構造やN-末端構造がかなり異なるために、シロイヌナズナ全長の構造解析が必須である。シロイヌナズナphot1およびphot2のLOV1を含む全長分子の遺伝子発現系による調製を試み、ポジティブな結果を得ている。シロイヌナズナ全長試料のX線小角散乱による構造解析および結晶化とX線結晶構造を目指す。b)phot青色光シグナル伝達の解析:シロイヌナズナ光屈性などにおいてphot1と相互作用してシグナロソゾームの様な複合体を作っている可能性のある、NPH3、RPT2、PKS4などのシグナル伝達因子の内、前者二つの遺伝子発現系による調製にほぼ成功している。これらと全長phot1との in vitro での相互作用をBioCoreなどにより分子レベルの解析を行う。 2)シロイヌナズナのphyBに関する研究。a)現在最終段階にかかっているphyBセンソリードメインのPr型試料の結晶化を完成させ、X線結晶構造解析を行う。さらに、Pfr型の分子構造をとるとされるY/Hアミノ酸置換体の結晶化も同様な条件で可能と考えられ、スクリーニングを進める。b)phyBシグナル伝達因子PIF3のphyB相互作用ドメインを調製し、その相互作用の分子基盤を解析するとともに、phyBとの共結晶の作成を試みる。 3)シロイヌナズナのphyAとphot2のシグナル伝達クロストークに関する研究:現在行っている新規シグナル伝達因子に関する研究をさらに進めて、その機能および作用機構の解明を目指す。
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Remarks |
http://www.b.s.osakafu-u.ac.jp/~toxan/home.html
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Research Products
(11 results)