2013 Fiscal Year Annual Research Report
核輸送関連の核内複合体の構造解析と放射光測定法の改良
Project Area | Structural basis of cell-signalling complexes mediating signal perception, transduction and responses |
Project/Area Number |
22121006
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山下 栄樹 大阪大学, たんぱく質研究所, 助教 (00294132)
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Project Period (FY) |
2010-06-23 – 2015-03-31
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Keywords | 核-細胞質間輸送 / X線結晶構造解析 / 放射光 / 構造細胞生物 |
Research Abstract |
真核生物では、細胞が正常にかつ効率よく機能するためには、核と細胞質の間で連携した物質輸送が必要である。核―細胞質間物質輸送では、輸送担体が分子量の大きな積荷分子を認識し、輸送担体-積荷分子複合体を形成し核膜を通過する。本研究では、核―細胞質間物質輸送において、輸送担体がどのように積荷分子を認識し、どのような仕組みで核膜を通過するのかを、放射光を用いた高精度測定により得られる高精度の複合体構造に基づいて明らかにする。本年度は、RNAの核外輸送に関わる複合体及び転写因子の核輸送に関わる複合体の構造解析に向けて以下のことを実施した。 I. RNAの核外輸送に関わる複合体の結晶構造解析 (1)様々な積荷分子tRNAによる複合体の構造解析のために、tRNAのデータベース上で安定かつ生合成できる可能性のあるtRNAを3種類選択し、その中で大量の生合成が行えたtRNAについて複合体形成実験を行った。1種類については結晶化が行える程度の複合体の調製に成功した。(2)tRNA・exportin-5・RanGTP・eEF1aの4者複合体の結晶構造解析に向けて、eEF1aの発現系の構築を行った。(3)3.5A分解能でexportin-5の結晶構造を得ることに成功した。 II. 細胞分化に関わる核輸送の構造研究 (1)細胞分化に関わるimportin-α1とα5の大量発現系を構築し、精製方法を確立した。importin-α1については、結晶構造解析に成功した。(2)転写因子群(Oct3/4、Oct6)の大量発現系を構築し精製方法を確立した。Importin-α1とそれぞれの転写因子との結合実験を行った。(3)importin-α1の結合部位を特定するために、転写因子内の認識ペプチドとの複合体の構造解析を行い、分解能3.0Aでの構造を得ることに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
I. RNAの核外輸送に関わる複合体の結晶構造解析:柔軟な構造だと考えられ結晶化が困難であった核外輸送因子exportint-5の単独の結晶構造解析に成功し、exportin-5の構造変化を原子レベルで明らかにすることに成功した。RanGTPとexportin-5が精製時に分解する現象が発生し、分解する原因について完全に突き止められていないため、複合体の結晶化に十分な純度と量が精製できないことがあった。このため、RNAの核外輸送に関わる複合体の結晶構造解析がやや遅れている。 II. 細胞分化に関わる核輸送の構造研究:importin-α1については、単体での構造解析およびOct3/4のNLSペプチドとの構造解析に成功し、importin-α1上でのNLS結合部位を明らかにした。importin-α5については、結晶化条件の探索を継続中である。全長の各転写因子(Oct3/4, Oct6)については、大量発現系を構築し精製方法を確立でき、概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
I. RNAの核外輸送に関わる複合体の結晶構造解析:short-tRNA及び今年度新たに調製できたtRNAとの3者複合体について、結晶化条件の探索を行い、構造解析を行う。short-tRNA3者複合体については、単分散性が非常によいので、電子顕微鏡を用いた構造解析についても試みる予定である。eEF1aについて大量発現及び精製方法が確立したので、結合実験を行い結合条件が見つかれば、4者複合体の結晶構造解析を試みる。 II. 細胞分化に関わる核輸送の構造研究:Oct3/4・importin-α1複合体及びOct6・importin-α1複合体の構造解析を進める。importin-α5の精製方法を改良して、importin-α5単体とOct6・importin-α5複合体の構造解析を行い、機能の異なる転写因子がどのようにして種分けされて特定のimportin-αによって認識されるのかを明らかにする。
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Research Products
(3 results)