2011 Fiscal Year Annual Research Report
シグナル抑制因子CBLの分子複合体構造と病因変異の解析
Project Area | Structural basis of cell-signalling complexes mediating signal perception, transduction and responses |
Project/Area Number |
22121008
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
稲垣 冬彦 北海道大学, 大学院・先端生命科学研究院, 特任教授 (70011757)
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Keywords | Cb1-b / E3リガーゼ / 自己免疫疾患 / ガン化 / SH2 / RING / チロシンリン酸化 / ユビキチン化 |
Research Abstract |
Cbl-bはRINGタイプのE3リガーゼである。細胞表面のT-セルレセプターや細胞成長因子レセプターを認識し分解することにより、過度の免疫応答や細胞増殖を抑制している。Cbl-bのE3活性の欠損は自己免疫疾患やがん化に関連していることが報告されている。Cbl-bはTKB領域(ヘリックスバンドル、EFハンド領域、SH2より構成される),ヘリックスリンカー、RINGフィンガー、プロリンに富む領域及びユビキチン結合ドメインより構成される。SH2はチロシンリン酸化された標的タンパク質の認識にかかわり、ヘリックスリンカー部位に存在するチロシンのリン酸化によりE3活性が顕著に亢進されることが報告されているが、その機構に関しては不明であった。今回、我々はE3活性を持つTKB+ヘリックスリンカー+RINGドメインについてNMRおよびX線小角散乱を用い、リン酸化により誘起される構造変化を明らかにした。非リン酸化状態ではヘリックスリンカー+RINGはTKB領域とタイトに相互作用し、RINGとE2との相互作用は阻害されていた。しかし、Y363のリン酸化により、ヘリックスリンカーはTKBよりリリースされるとともに、リン酸化チロシンを介してRING領域の塩基性残基と相互作用を行いコンパクトな構造をとり、新たなE2結合面を提示することが分かった。リン酸化を介したCbl-bのE3活性の制御モデルに従い、TKBとヘリックスリンカーの相互作用を弱める変異体を作製し、Cbl-Bの自己ユビキチン化を指標としてE3活性を測定した。その結果、E3活性は顕著に増大していることより、今回我々が提出した活性化機構が妥当であることを明らかにした。リン酸化による活性制御の新しい機構を提出した点で、注目を集め、PNASに掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初計画したCbl-bのチロシンリン酸化によるE3リガーゼ活性制御機構に関しては、ほぼ、解明することができたと考えている。この結果はPNASに掲載され,Nature Structural and Molecular Biology誌のNews and Viewsに取り上げられ、国際的にも高い評価を受けている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の目的はほぼ達成したので、今後はCbl-bのY363のリン酸化を行うFGFレセプターについてチロシンリン酸化反応の制御機構について研究を展開する予定である。すでにコンストラクトの作製やリン酸化反応についての検討を始めている。
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Research Products
(21 results)