2012 Fiscal Year Annual Research Report
Structural analysis of CBL protein complexes as a signal suppressor
Project Area | Structural basis of cell-signalling complexes mediating signal perception, transduction and responses |
Project/Area Number |
22121008
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
稲垣 冬彦 北海道大学, 先端生命科学研究科(研究院), 特任教授 (70011757)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | チロシンキナーゼ / 過渡的複合体 / 同位体ラベル / NMR / ナノディスク |
Outline of Annual Research Achievements |
平成24年度は、CblBのチロシンリン酸化に関与するチロシンキナーゼに研究の重点を移した。チロシンキナーゼは大腸菌による発現が困難であることが知られているが、今回、我々は、チロシンホスファターゼであるPTP1Bを共発現することで、大腸菌でも活性のあるチロシンキナーゼを発現できることを確かめた。さらに、シャペロンを共発現することにより、発現量が増加することを確認した。これまで、活性のあるチロシンキナーゼの発現はバキュロ系に限られていたが、大腸菌を用いた発現系を確立できたことの意義は大きい。受容体型チロシンキナーゼは二量体を形成し、トランスでお互いのチロシンをリン酸化することにより、1000倍以上の活性化を受けることが知られている。我々は、活性化の最初の段階である活性化ループのチロシンのリン酸化機構の解明を目指した。キナーゼ挿入領域と特定のArgに変異を加えることにより、単量体化できることを見出した。野生体のNMRスペクトルと比較することにより、二量体形成によりシグナルが消える領域を同定することができた。興味深いことに、活性化ループと近傍の領域のシグナルが消失していた。これは、二量体形成による交換過程を反映した線幅の増大と考えられた。次にCys変異を加え、架橋実験を行い活性化の最初の段階に必要となる二量体構造を明らかにした。活性化ループを含む面でお互いに二量体を形成し、活性化ループのチロシンをリン酸化することが明らかとなった。また、ガン変異に伴う構造変化をMetの13Cラベルしたメチル基をプローブとして解析できる系を構築した。現在チロシンリン酸化によるリン酸化能亢進およびガン変異に伴うチロシンキナーゼ活性化について検討を加えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
大腸菌を用いてチロシンキナーゼの発現を行えるようにした意義は高い。活性測定の結果、バキュロで作製したもチロシンキナーゼとそん色のないことが確認できた。また、最初の活性化に必要な二量体構造を明らかにできた。これはチロシンキナーゼに関し最初の例と考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
チロシンキナーゼの活性化機構を明らかにすること、チロシンリン酸化に伴う構造変化を明らかにする。また、ガン化を誘起する変異とチロシンリン酸化能の亢進とその分子機構を解明する。また、チロシンキナーゼ阻害剤との相互作用解析を行い、阻害効果を解明する。
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Research Products
(14 results)