2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Vasculo-neural wiring and their interdependent crosstalk |
Project/Area Number |
22122009
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
太田 訓正 熊本大学, 大学院・生命科学研究部, 准教授 (90244128)
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Keywords | 血管 / 神経幹細胞 / 細胞外因子 / Tsukushi / Wntシグナル |
Research Abstract |
私たちのグループは、細胞外領域においてシグナル伝達経路間の情報を仲介する因子であるTsukushiの機能解析を行っている。 Tsukushiが動物種を超えて網膜幹・前駆細胞が局在する領域(トリやカエルでは毛様体辺縁部、ヒトやマウスでは毛様体と呼ばれている)に発現し、その増殖をWntシグナル阻害因子として制御することを報告した(Ohta et al.,PNAS 2011)。マウスの成体脳において、Tsukushiは神経幹細胞が局在する成体側脳室下帯や海馬・歯状回において強く発現している。様々なマーカー分子を用いた免疫染色法やBrdU取り込み実験により、Tsukushi遺伝子欠損マウス(Tsukushi 遺伝子のエキソン領域をLac-Zと入れ替え)では野生型マウスと比べて、神経幹細胞と神経前駆細胞の増殖が亢進していた。この結果はFACSを用いた解析でも再現されたことから、Tsukushiが神経幹・前駆細胞の増殖を制御していることが証明された。さらに、成体TsukushiヘテロマウスのLac-Z染色により、Tsukushiは毛の幹細胞が局在するバルジ領域と毛乳頭と呼ばれる領域に発現していることが明らかになった(Niimori et al.,revised)。これらの解析結果から、Tsukushiは外胚葉由来の幹細胞の未分化性維持に関わるニッチ分子として、細胞外領域においてシグナル伝達を調節するシグナル仲介因子であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
野生型マウスとTsuksuhi KOマウスの神経幹細胞ニッチにおいて、神経幹細胞と神経前駆細胞の制御がTsukushiによって行われていることを、免疫染色法だけでなくFACS解析においても証明できた。
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Strategy for Future Research Activity |
成体マウスの側脳室下帯を単離してRNAを精製し、マイクロアレイを行う。野生型マウスとTsuksuhi KOマウス間で、どのシグナル伝達経路が変化しているかを明らかにする。
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