2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Neural Diversity and Neocortical Organization |
Project/Area Number |
22123002
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
影山 龍一郎 京都大学, ウイルス研究所, 教授 (80224369)
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Keywords | 神経幹細胞 / ヒストンメチル化酵素 / ESET / 神経発生 |
Research Abstract |
神経幹細胞は、初めに盛んに増殖して細胞数を増やすが、やがて非対称分裂を繰り返していろいろな種類のニューロンを産生する。ニューロンの産生が終わると、神経幹細胞は最後にアストロサイトのようなグリア細胞に分化する。このように、神経幹細胞は時間とともに性質を変えて多彩な細胞を産生して脳神経系の多様性形成に大きく貢献するが、この経時的変化を制御する分子機構はよくわかっていない。今までに、神経幹細胞の維持に必須な転写抑制因子Hes1の発現が約2~3時間周期でオシレーションすること、このオシレーションによって増殖や分化能が変化することを示してきた。これらの成果から、Hes1オシレーションによって下流遺伝子の発現が経時的に変化して、分化能が変化することが示唆された。今回、ヒストンメチル化酵素ESETに注目して発現をしらべたところ、発生の進行とともに発現量が減少した。次に、ESETの機能を明らかにするために前脳特異的ESET欠損マウス(ESET cKOマウス)を作製した。このマウスでは、多くの遺伝子発現が乱れ、神経発生に大きな異常が見られ、出生後10日以内に致死となった。神経発生過程を組織学的に解析したところ、発生初期に分化するニューロンの形成が十分に起こらないうちに、発生後期に分化するニューロンの形成が開始していた。さらに、ニューロン分化が正常よりも早く終了し、アストロサイトの形成が早期に起こることがわかった。これらの結果から、ESETは神経幹細胞の分化能の経時的変化を制御することが明らかになった。今後は、Hes1オシレーションとESETの発現低下とにどのような関係があるのかを探る予定である。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] Zinc-finger genes Fezf1 and Fezf2 control neuronal differentiation by repressing Hes5 expression in forebrain2010
Author(s)
Shimizu, T., Nakazawa, M., Kani, S., Bae, Y.-K., Shimizu, T., Kageyama, R., Hibi, M.
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Journal Title
Development
Volume: 37
Pages: 1875-1885
Peer Reviewed
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