2010 Fiscal Year Annual Research Report
胎生期大脳新皮質神経幹細胞による多様な細胞の産生機構の解析
Project Area | Neural Diversity and Neocortical Organization |
Project/Area Number |
22123003
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
後藤 由季子 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 教授 (70252525)
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Keywords | ニューロン / 上皮間葉転換 / Scratch |
Research Abstract |
多様なニューロンが大脳皮質内で正確な配置を達成するためには、「ニューロンへと分化決定したらすぐに移動を開始すること」が必須の要件となると考えられている。そこで、「ニューロン分化運命決定直後に移動を開始するメカニズム」の解明を試みた。大脳新皮質神経系前駆細胞において、プロニューラル転写因子Ngn1,Ngn2の発現上昇がニューロン分化運命決定に重要である事が示されている。そこで、ニューロン分化に伴いNgn1,Ngn2の下流で転写される遺伝子の中に、移動の開始を司る因子が含まれると考えた。我々は、Snail superfamily転写因子のScratch1とScratch2が、Ngn1,Ngn2の下流で発現誘導される事、大脳新皮質の脳室下帯に局在する新生ニューロンに発現している事、を見いだした。Scratch1とScratch2はいずれも、大脳新皮質神経系前駆細胞に過剰発現すると移動開始をprematureに促進し、またノックダウンすると新生ニューロンの移動開始を遅延した。従ってScratch1とScratch2が、大脳新皮質における「ニューロン分化運命決定とニューロン移動の開始を結ぶ因子」であることが示唆された。さらに、Scratch1とScratch2がニューロン移動cadherin抑制は、中胚葉誘導、癌化などのコンテクストにおいて上皮間葉転換の主要メカニズムとして知られている。従って、本研究の結果から、神経系前駆細胞からニューロンへの転換は上皮間葉転換の一種として捉えられると考えられる。
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Research Products
(9 results)