2012 Fiscal Year Annual Research Report
Mechanisms of neurogenesis and gliogenesis by neural stem cells
Project Area | Neural Diversity and Neocortical Organization |
Project/Area Number |
22123004
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
島崎 琢也 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (00324749)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 神経幹細胞 / 神経細胞 / グリア / 分化 / 転写因子 / Coup-TFI/II / NFIA / miRNA |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、哺乳類神経幹細胞において、Coup-TFI/II等の転写因子がその下流遺伝子の発現をどのように調節し、時期依存的な神経・グリア細胞分化のスイッチングや神経細胞のサブタイプ形成を制御しているかを解明することを目的として行われている。これまで、Coup-TFI/IIの下流で発現が抑制される遺伝子群を多数同定すし、抗Coup-TFI/II抗体を用いたChIP-Seq解析により発生初期型の神経幹細胞中でCoup-TFI/IIが結合しているゲノム部位も解析し、Coup-TFI/IIの下流標的遺伝子の候補の絞り込みを行った後、マウスES細胞分化系を用いた機能解析、すなわち、発生初期型神経幹細胞および後期型神経幹細胞におけるレンチウイルスベクターを用いた候補遺伝子のノックダウンおよび強制発現を行い、それらの時系列特異的なニューロンおよびグリアへの分化能をin vitroで検定するスクリーニングを行った。その結果、複数のmicroRNA(miRNA)(miR-17, 106b, 124, 153, 219)がCoup-TFI/IIの下流で神経・グリア細胞分化のスイッチングに関与していることを見出した。具体的には、これらの強制発現によって、神経・グリア細胞分化のスイッチングが阻害され、Tough Decoyベクターシステムを用いた機能阻害によって、初期型神経幹細胞におけるグリアの早期分化が起きた。さらに、これらのうちmiR-153は、グリア分化誘導因子の1つであり発生期の中枢神経系におけるグリア分化の時期を制御していると考えられているNFIAの強制発現によって、その発現が抑制された。また、これらmiRNAの機能標的遺伝子の候補も複数同定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Coup-TFI/IIの下流で神経幹細胞発生における神経・グリア細胞分化のスイッチングの制御に関与している遺伝子を複数発見し、その機能解析も順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
Coup-TFI/IIの下流に存在するmiRNAの標的遺伝子候補の機能解析をin vitroとin vivoの両方で行う。具体的には、マウスES細胞分化系あるいはマウス胎仔由来培養神経幹細胞のみならず、マウス胎仔脳での強制発現やTough Decoyベクターシステム等を用いた機能阻害による機能解析を行う。これまで同定した下流遺伝子がCoup-TFI/IIの直接の標的である証拠は得られておらず、引き続き標的遺伝子の探索を行う。探索の効率化を行うために、Coup-TFI/IIの遺伝子ノックダウンを、様々な発現レベルで様々な領域特異性を与えたマウスES細胞由来神経幹細胞、あるいはマウス胎仔の様々な領域の神経幹細胞の様々な時期で行い、DNAマイクロアレイによる遺伝子発現プロファイリングのデータベースを作成し、統計学的解析を行う。
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