2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Molecular mechanisms underlying reconstruction of 3D structers during regeneration |
Project/Area Number |
22124006
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
遠藤 哲也 愛知学院大学, 教養部, 講師 (90399816)
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Keywords | 再生生物学 / 四肢再生 / 哺乳類 / 創傷治癒 / 炎症 / 両生類 |
Research Abstract |
マウス前腕部の切断によって切断面付近に作られる骨肥大がどのような仕組みで形成されるかを解析するために、骨肥大形成に何らかの変化を引き起こす因子を探した。その結果、抗炎症剤であるアスピリンの腹腔内投与によって、骨肥大形成が抑制されることが分かった。また投与時期を変える実験より、アスピリンは主に前肢切断後から3日目までの間に作用していることが明らかとなった。骨肥大が再生モデル動物である両生類においても見られるか調べたところ、切断された骨の末端と再生芽をつなぐような位置に、骨の肥大化が起きていることが分かった。すなわちマウスにおいて再生芽は形成されないものの、四肢再生に伴ったその他の反応は切断によって開始している可能性が示唆され、この反応は炎症反応と密接に関与していると考えられた。 次に、マウス前腕切断モデルにおいて時間経過と共に発現量が変化する遺伝子を網羅的に把握するため、切断後3日目までの前肢サンプルからRNAを抽出し、マイクロアレイ解析を行った。前肢の切断によって発現が変化する遺伝子を効率よく選び出すために、コントロールとして(1)皮膚のみを損傷させた創傷治癒サンプル、(2)皮膚は傷つけずに筋肉・骨・結合組織・神経等を切断・損傷させたサンプルを準備した。これらはそれぞれ、両生類ですら四肢を再生することができない操作であるが、(1)と(2)で切断・損傷を受けた組織を合わせると、四肢切断と同等の組織が切断・損傷を受けたことになる。すなわちマウス前腕切断サンプルと、(1)(2)サンプルの合計を比較することによって、四肢再生を開始するための十分条件である「前肢の完全切断」によってのみ発現が変化する遺伝子を抽出できると考えた。現在得られたデータの解析を進めている。
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