2011 Fiscal Year Annual Research Report
ゲノム伝達のための染色体構造と機能の世代を越えたアダプテーション
Project Area | Systematic study of chromosome adaptation |
Project/Area Number |
22125004
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
石井 浩二郎 大阪大学, 生命機能研究科, 特任准教授 (40360276)
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Keywords | 染色体 / セントロメア / テロメア / 減数分裂 |
Research Abstract |
今年度はまず、新たに獲得した2番染色体および3番染色体でのネオセントロメアの減数分裂遂行能力を検証した。昨年度までの解析で、1番染色体のネオセントロメアに減数分裂遂行能力があることを結論づけていたが、同様にホモタリック接合型細胞による減数分裂と接合型遺伝子座位上の対立遺伝子の細胞導入で誘導した減数分裂の双方について解析し、染色体上の位置取りが異なり、体細胞分裂期では十分な機能性が確立されていないことが判明しているネオセントロメアも、減数分裂の遂行能力は十分にあることが確認された。また、新しく獲得されたネオセントロメア形成染色体のネオセントロメア形成部位のゲノム配列も決定し、それが機能不全のネオセントロメアでも、それが機能獲得型に変貌したネオセントロメアでも、配列変化を全く伴っていないことを確認した。しかしながら、機能獲得型ネオセントロメアでは、その形成領域に隣接するrDNAリピート領域において、リピート回数が~60回から1~2回へと大幅に減少していることを見出した。その出現のタイミングは元の株のrDNAリピート回数との間に強い相関は示さなかった。しかし、そのような機能獲得型ネオセントロメアではテロメアヘテロクロマチンが強く隣接するようになっていた。機能獲得がヘテロクロマチンに依存した変化であることを検証するため、ヘテロクロマチン変異(clr4変異)バックグランドでの機能獲得事象を検討した。さらに、機能不全型のネオセントロメアの隣接領域に異所的なヘテロクロマチンを誘導し、それが同じく機能獲得を導くか検討した。その結果、隣接ヘテロクロマチンの獲得がネオセントロメアの機能性獲得につながっていると結論づけた。この結果ほ、なぜ現存するセントロメアのほとんどがヘテロクロマチンの隣接を獲得しているのか説明するものといえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ネオセントロメアやテロメア融合のゲノム配列決定を完了し、アダプテーションを確認するために必要な条件は整った。また、ネオセントロメアの減数分裂遂行能力の確認も順調に進捗している。減数分裂過程の進行を生細胞で観察する実験は未だ準備段階にあり、今後精力的に進める計画である。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでは分裂酵母細胞を用いた遺伝的な解析を中心に研究を推し進めてきた。今後もその解析アプローチは継続するが、それに加えて、今後はより分子的な解明に力点をおいて研究を進める。そのために、セントロメア構成因子のGFPタグ付加やエピトープタグ付加などはほぼ完了しており、それらを用いた生細胞蛍光顕微鏡観察などの細胞生物学的なアプローチおよびマイクロアレイなどを用いた染色体結合領域のゲノムワイド解析アプローチを積極的に展開する計画である。
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