2012 Fiscal Year Annual Research Report
多彩な生物種における脂肪蓄積と食欲制御に関与する新規生理活性ペプチドの探索
Project Area | Molecular Basis and Disorders of Control of Apetite and Fat Accumulation |
Project/Area Number |
22126003
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
児島 将康 久留米大学, 分子生命科学研究所, 教授 (20202062)
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Project Period (FY) |
2010-06-23 – 2015-03-31
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Keywords | 生理活性ペプチド / 摂食調節 / リガンド探索 |
Research Abstract |
これまで、摂食調節に関連したリガンド不明のほ乳類オーファン受容体に類似したショウジョウバエのオーファン受容体をターゲットにして、3系統5種類の新規生理活性ペプチドを単離し、ショウジョウバエにおける摂食調節に関連した生理作用を明らかにしてきた。これらの新規生理活性ペプチドの情報をもとに、ほ乳類での類似生理活性ペプチドの探索を試みた。 ①これまでに発見したショウジョウバエの新規生理活性ペプチドのアミノ酸配列を使って、NCBI Blast によってほ乳類(ヒトおよびマウス)のタンパク質データベースを検索した。CCHおよびdRYamide ではC末端のアミド供与体Gly を含めて検索した。その結果、CCHおよびdRYamide を使った検索ではアミノ酸配列が短いためにデータベース検索はうまく行かなかった。Trissin は27アミノ酸で比較的長いため、これを使った検索ではいくつかのほ乳類候補タンパク質にヒットした。例えばAAB84021.1のzinc finger protein はIKCDTCGKE配列のうち8/9、CDTCGK配列の5/6は一致したが、このタンパクにはシグナル配列がなく、典型的な生理活性ペプチド前駆体のアミノ酸配列ではなかった。データベースの検索は継続している。 ②新規生理活性ペプチドの発見に用いたショウジョウバエ受容体の発現細胞を使って、ほ乳類組織の抽出サンプルを系統的にスクリーニングした。そのうちdRYamide受容体を用いたアッセイ系では、脳のSP-III画分(強塩基性ペプチド画分)にポジティブなシグナルが得られ、これを最終的に単一のペプチドまで精製した。シークエンス解析の結果、このペプチドはRFアミド・ペプチドであったが、本アッセイ方法の有効性を示すものと考え、さらに脳および脳以外の組織の探索を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの3年間で、ショウジョウバエ組織から3系統5種類の新規生理活性ペプチドを発見した。ショウジョウバエということを差し引いても、1年に1系統の新規ペプチドを見つけたことは,予想外に進展したと思う。しかしながら、その生理作用の解明に関してはまだ十分に進んでいない。それは研究代表者がショウジョウバエの実験システムに慣れていないためであり、研究チームの構成を考える必要があった。幸いにも平成24年度からショウジョウバエ実験の専門的な研究者をチームに加えることができ、また共同研究先との研究も進めることができ、ごく最近に論文投稿までこぎ着けた。 このような進展から、おおむね順調に進展していると思う。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの成果を生かして、今後の研究推進を行う。 ①発見したショウジョウバエ新規生理活性ペプチドの機能解析 CCH,およびdRYamide に関して、ハエでの摂食調節に関与していることは明らかにしたが、その他にどのような機能があるのかはまだ不十分である。ショウジョウバエでこれらのペプチドを欠損させた組み換え体を作り系統的に解析する。欠損したもので、DNAマイクロアレイによって変化している遺伝子をピックアップし、それについて調べる。また過剰発現ハエも構築し、それについても同様に遺伝子変化をまず調べる。 Trissin に関しては、そのユニークな構造と脳神経系に存在する組織分布から、神経活動に関与していることが考えられるが、こちらもまず遺伝子欠損と過剰発現のハエを作成して、解析をすすめる。 ②新規の生理活性ペプチドの探索継続 ショウジョウバエの新規生理活性ペプチドをもとにしたほ乳類での類似ペプチドの探索はうまくすすんでいない。今後は、ショウジョウバエのペプチドに関連あるものだけを進めるのではなく、ほ乳類の脂肪組織や摂食調節領域に存在しているオーファン受容体をターゲットにして新規の生理活性ペプチド探索を進める。繰り越しを申請した理由としたオーファン受容体アッセイ系の再検討によって、多くのオーファン受容体でN末端部分の糖付加領域を削ることで、受容体活性を損ねることなく、受容体の発現効率をあげることがわかった。今後はリガンドが見つかっていないオーファン受容体を改変したものを使って、系統的な組織ペプチドの検索を進めていく。
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[Journal Article] Isolation of the bioactive peptides CCHamide-1 and CCHamide-2 from Drosophila and their putative role in appetite regulation as ligands for G protein-coupled receptors2012
Author(s)
Ida T, Takahashi T, Tominaga H, Sato T, Sano H, Kume K, Ozaki M, Hiraguchi T, Shiotani H, Terajima S, Nakamura Y, Mori K, Yoshida M, Kato J, Murakami N, Miyazato M, Kangawa K, Kojima M
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Journal Title
Front Endocrinol (Lausanne)
Volume: 3
Pages: 177
DOI
Peer Reviewed
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