2011 Fiscal Year Annual Research Report
摂食・エネルギー代謝調節に関わる摂食調節ペプチドの機能形態学的解析
Project Area | Molecular Basis and Disorders of Control of Apetite and Fat Accumulation |
Project/Area Number |
22126004
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
塩田 清二 昭和大学, 医学部, 教授 (80102375)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
影山 晴秋 昭和大学, 医学部, 助教 (00433839)
竹ノ谷 文子 星薬科大学, 薬学部, 講師 (30234412)
姜 奇成 昭和大学, 医学部, ポストドクター (80613083)
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Keywords | 摂食調節 / エネルギー代謝 / 機能形態学的解析 / 神経ネットワーク / 遺伝子工学的手法 |
Research Abstract |
食欲や脂肪蓄積の制御を明らかにするためには、脳内の摂食およびエネルギー代謝調節を統御するニューロンネットワークの神経解剖学的な解析が必須である。さらに脳と末梢臓器間の神経ネットワークを解明することにより、末梢臓器、特に脂肪組織の生理機能の制御の分子基盤の解明につながると考えられる。そこで摂食・エネルギー代謝に関与するリガンド産生細胞の分布・局在、求心路や遠心路を同定することによって、脳内のみならず脳-末梢臓器間のネットワークを解明することを目的としている。そこで本年度はガラニン様ペプチド(GALP)に注目した。GALPは摂食調節とエネルギー代謝にかかわるペプチドである。視床下部弓状核のGALP含有ニューロンは他の摂食調節ペプチド含有ニューロンとニューロンネットワークを形成し、摂食調節およびエネルギー代謝調節を行っていると考えられている。タモキシフェン誘導型Cre-loxPシステムを利用した時・空間的にβガラクトシダーゼを発現する遺伝子改変動物をもちいてGALP産生ニューロンの分布局在を同定した。これまでラットにおいてGALPニューロンは視床下部弓状核に局在していることが報告されているが、今回我々のマウスを使った結果より、GALP産生細胞は僧帽細胞層、蓋ひも、梨状葉、室傍核、弓状核、海馬、青斑核、小脳に分布していることを観察した。GALPは弓状核以外にもいろいろな神経核に分布し、摂食やエネルギー代謝だけでなく、嗅覚や学習・記憶にも関与している可能性が示唆された。またタンパクレベルでGALPや神経ペプチドW(NPW)の解析ができるように特異的抗体を作製した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
脳内の摂食およびエネルギー代謝調節を統御するニューロンネットワークを神経解剖学的に明らかにするため、遺伝子工学的手法を応用した神経ネットワークを解析する新技法を用いて解析を行った。本年度の目標はガラニン様ペプチド(GALP)の分布・局在を明らかにすることにある。新規開発したタモキシフェン誘導型Cre-10xPシステムが作動することが確認できた。またこのシステムを用いることで、GALP産生ニューロンの分布・局在が明らかとなったことから、本年度の目標はほぼ到達できたのではないかと評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
ガラニン様ペプチド(GALP)遺伝子発現制御下でCreERを発現しているトランスジェニックマウスと軸索を逆行性輸送する機能を持つ緑色蛍光タンパク質を発現するトランスジェニックマウスと交配させ、ダブルトランスジェニックマウスを作製し、GALPニューロンの求心路の同定を行う。特異的抗体を用いて光顕レベルあるいは電顕レベルでGALP、NPWなどを含むニューロンの形態解析を行い、軸索終末の化学的同定も行う。さらに、これらGPCRリガンド含有ニューロンによる脂肪細胞や膵臓内分泌細胞などへの自律神経系を介した神経調節を生理学的に明らかにし、細胞レベルで種々のGPCRリガンドによる細胞内シグナル伝達機構の解析を行う予定である。
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Research Products
(25 results)