2010 Fiscal Year Annual Research Report
細胞のミクロな力学作用がマクロな心臓の形態を生み出すロジック
Project Area | From molecules, cells to organs : trans-hierarchical logic for higher-order pattern and structures |
Project/Area Number |
22127006
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小椋 利彦 東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (60273851)
|
Keywords | 力 / 転写 / miRNA / 心臓 / 代謝 |
Research Abstract |
発生過程で、薬剤を加えて心拍を止めると心臓発生が正常に進まなくなり、弁形成の不全など、ヒトの先天性心疾患と似た異常が見られるようになる。このことは、心拍/血流が作り出す機械的力刺激が、遺伝子発現などの生物学的反応に大きく影響することを示唆している。本研究では、力刺激によって発現誘導する遺伝子を同定する試みを開始し、弁特異的に発現するmiRNAのひとつ、miR-21を見いだした。miR-21は心臓の房室弁に限局して発現する。薬剤で心拍/血流を止めるとその発現が消失し、薬剤を洗い流して心拍/血流を再開させると速やかに発現が復元する。この現象は房室弁に限らず、再生誘導を目的とした心筋切除、尾びれ切除でも断端に発現誘導されることから、再生の初期には組織の挫滅という力刺激自体が遺伝子発現に影響して再生を引き起こす可能性を指摘できる。また、レーザーを使って血栓を大動脈内に作って部分的に勇断応力がかかる部分を作ると、その部位の血管内皮細胞にも強く発現するようになる。miR-21の標的としてSprouty、Pten、ptcd4を同定したが、このことは、力刺激がmiR-21の発現を介して細胞増殖を促進して弁形成を行うことを意味している。miR-21のノックダウンを行うと、弁形成がほぼ完全に抑制されることから、miR-21、力刺激の重要性が理解できる。 力刺激がどのようにmiR-21の発現を誘導するかを調べる目的で、そのプロモーターを同定した。そして、幾つかの興味深いモチーフを見いだした。また、このプロモーターは力刺激に反応して活性化されることもわかり、力刺激とmiR-21発現を結びつける糸口となって次年度への展開の元となった。
|
Research Products
(10 results)