Research Abstract |
本研究の目的は,全ゲノムの塩基配列の解析(パーソナルゲノム解析)に基づいて脳疾患の発症に関与するゲノム要因(genetic variants)を網羅的に明らかにし,脳疾患の病態機序の解明を実現することにある.effect sizeの大きいゲノム要因(variants)を見いだすためには,これまでのcommon disease-common variants仮説に立つアプローチは不十分であり,common disease-multiple rare variants仮説に立った,パーソナルゲノム解析研究を進める.これまでに,次世代シーケンサーを導入して,全ゲノム配列解析システム,精度の高いゲノムインフォマティクスのパイプラインを整備した.これらに基づき,多系統萎縮症多発家系,家族性筋萎縮性側索硬化症,家族性てんかんなどを含め,25例の全ゲノム配列解析を行った.特に,多発家系などの家系例で,連鎖解析による候補領域の絞り込みを行うことにより,疾患に特異性の高いvariantsの絞り込みを行っている.これまでの研究で,筋萎縮性側索硬化症,多系統萎縮症,家族性てんかんなどについて,発症に強く関連する,ゲノム上のvariantsを同定した.これらのvariantsについて,疾患の病因変異であるかどうかについて,国際的な共同研究体制も構築し,大規模な症例の集積を行い,その検証を進めるとともに,当該variationに関する機能解析も進めている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
次世代シーケンサーの整備,ゲノムインフォマティクスパイプラインの整備が完了したこと,多発家系に重点を置くアプローチにより,疾患に関連するゲノム上のvariationの探索の速度が大きく加速された.
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Strategy for Future Research Activity |
多発家系に焦点を当て,全ゲノム解析を適用するアプローチの有効性が証明され,この研究パラダイムをさらに発展させて,神経疾患の発症に関連するゲノム上のvariationの探索を進める.また,これまでの研究成果から,反復配列の異常や構造多型の検出の重要性も示されており,次世代シーケンサーを用いてこのようなゲノムvariationの検出方法についてもさらに改良を進める.
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