2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Development of Novel Treatment Strategies Targeting Cancer Stem Cells |
Project/Area Number |
22130002
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
赤司 浩一 九州大学, 医学研究院, 教授 (80380385)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
千葉 滋 筑波大学, 人間総合科学研究科, 教授 (60212049)
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Keywords | 癌幹細胞 / 白血病幹細胞 / 分子標的治療 / 免疫不全マウス / マクロフ / SIRPA / CD47 |
Research Abstract |
平成22年度研究で樹立したB6.Rag2nul11IL2Rγnu11SIRPANOD/NOD(BRGS)マウスは当初の予定通り順調に繁殖している。BRGSマウスをもちいた異種移植におけるヒト造血細胞の生着効率は、NOGマウスと同等以上の結果が得られた。以下に示す造血器腫瘍の異種移植マウスモデルの確立と治療標的分子抽出に向けた平成23年度研究を行った。 (1)Philadelphia染色体陽性急性リンパ性白血病(Ph-ALL) Ph-ALL(minorBCR-ABL)患者骨髄細胞をCD34+CD38-CD19+、CD34+CD38+CD19+、CD34-CD38+CD19+の3分画に純化してBRGSマウスに移植した。CD34-CD38+CD19+分画では移植による白血病の継代ができなかったが、前二者では3代にわたる継代が可能であり、Ph-ALLの白血病幹細胞はCD34+CD19+分画に濃縮されていることが明らかとなった。得られたヒトPh-ALLモデルマウスにダサチニブを2週間投与し、Ph-ALL幹細胞分画における遺伝子発現の変化を網羅的に解析した。ヒト正常ProB細胞(CD34+CD19+)およびダサチニブ非投与のPh-ALL幹細胞分画を比較対照とすることで、ダサチニブ治療抵抗性に関わる分子の探索を行った。現在、抽出した分子の機能解析を進めている。 (2)骨髄異形成症候群(MDS)病期進行に伴う幹細胞特性の変化 我々は急性骨髄性白血病幹細胞特異的に高発現する細胞表面分子TIM-3を同定し、抗TIM-3抗体による分子標的治療の開発を進めてきた。TIM-3は正常造血幹細胞および病初期のMDS幹細胞には発現しないが、病期進行に伴って幹細胞分画における発現が高まることを見出した。抗TIM-3抗体投与によって、正常造血をスペアしつつMDSクローンを排除できる可能性を示す知見と考えている。現在、BRGS異種移植系をもちいた検証を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた新規免疫不全マウスラインの樹立とそれをもちいた異種移植系の確立、Ph-ALL幹細胞およびMDS幹細胞の純化と細胞特性の解析、治療標的候補分子の探索など順調に進捗していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
MDS幹細胞の異種移植生着効率は、BRGSマウスを宿主としてもちいても必ずしも高くない。今後は、ヒトの造血環境をより模倣したマウスモデルが必要と考えられる。まず、骨髄系細胞増殖に重要なサイトカインであるヒトIL-3をノックインしたマウスラインの樹立を進めており、平成24年度中には使用可能となる予定である。異種移植生着効率の劇的な改善により、MDS幹細胞の機能解析が更に進むと期待される。
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Research Products
(14 results)