2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Development of Novel Treatment Strategies Targeting Cancer Stem Cells |
Project/Area Number |
22130003
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
中山 敬一 九州大学, 生体防御医学研究所, 教授 (80291508)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西山 正章 九州大学, 生体防御医学研究所, 助教 (50423562)
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Keywords | 癌幹細胞 / 細胞周期 / GO期 / 癌治療 / 遺伝子改変動物 |
Research Abstract |
がん幹細胞の特徴の一つは、長期にわたって静止期(GO期)にとどまっていることである。われわれは特に1)GO期への進行を促すメカニズムと、2)GO期からの脱出を阻止するメカニズムをそれぞれ明らかにし、その分子実体を明らかにした。1)はユビキチンリガーゼFbw7によるc-Mycのユビキチン依存性分解が大きなキーファクターとなっており、2)はCDKインヒビターp57がCDK活性を抑制することがその中心となっていることを突きとめた。そこでマウス慢性骨髄性白血病モデルを作製して、そのがん幹細胞においてFbw7を条件的に欠損させる実験を行った。Fbw7が欠損するとc-Mycのユビキチン化が阻害され、その結果c-Mycが蓄積して一過性の前駆細胞の増加が起こるが、このような異常な細胞増殖はp53が活性化されてアポトーシスが誘導され、最終的には白血病幹細胞の枯渇が起こる。つまりFbw7の抑制は一過性の異常増殖を経て、最終的にがんを消滅させる方向へ向かう。しかし白血病細胞の一過性の増殖は個体死を招くため、実際にヒトのがん治療には応用できない。この問題を解決するため、Fbw7の欠損と同時に従来の抗がん剤投与によって増殖細胞を殺す併用療法を行ったところ、最終的に白血病の完全寛解に成功した。Fbw7の抑制は正常細胞にも強い効果があると考えられたが、白血病幹細胞は正常幹細胞よりもはるかにFbw7欠損によるアポトーシスへの感受性が高く、これが治療ウィンドウになることが期待される。この結果はマウスだけでなく、実際にヒト白血病細胞を用いても同様の効果が確認された。つまり本研究により、Fbw7の抑制によってがん幹細胞をGO期から追い出し、増殖を始めたところを従来の抗がん剤で叩くという「GO期追出し療法」が現実的にがん治療にとって有効であることを証明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
白血病モデルマウスを樹立し、さらにそこからFbw7遺伝子の欠失を行った。固形癌モデルについてもマウス樹立までは順調に進行している。総合的に見ておおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
研究は順調に推移してきており、特段研究計画の変更あるいは問題点等はない。今後も研究計画に沿って着実に研究を遂行する予定である。
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[Journal Article] The Skp2-SCF E3 ligase regulates Akt ubiquitination, glycolysis, Herceptin sensitivity and tumorigenesis2012
Author(s)
Chan CH., Li CF., Yang WL., Gao Y., Lee SW., Feng Z., Huang HY., Tsai KKC., Flores LG., Shao Y., Hazle JD., Yu D., Wei W., Sarbassov D., Hung MC., Nakayama KL., Lin HK.
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Journal Title
Peer Reviewed
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