2011 Fiscal Year Annual Research Report
癌幹細胞の自己複製と未分化性維持の分子メカニズムの解明
Project Area | Development of Novel Treatment Strategies Targeting Cancer Stem Cells |
Project/Area Number |
22130006
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Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
北林 一生 独立行政法人国立がん研究センター, 研究所, 分野長 (20261175)
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Keywords | 白血病 / 幹細胞 / M-CSFR / HoxA9 |
Research Abstract |
癌幹細胞は、自己複製能を有すると共にしばしば治療抵抗性を示して治療後に残存し、再び癌細胞を供給して再発の原因となる。マウス骨髄細胞にMOZ-TIF2を導入して移植することにより白血病を誘導したモデル実験系を用いて、急性骨髄性白血病の幹細胞ではHoxA9、M-CSFR、C-Kitの発現が亢進していることを見いだした。HoxA9の発現は、MOZ-TIF2がクロマチン結合因子BRPF1との結合を介してHoxA9遺伝子の修飾クロマチンを認識することにより活性化することを明らかにした。BRPF1はMOZ-TIF2と共にHoxA9遺伝子に局在し、BRPF1の発現をshRNAにより抑制するとHoxA9の発現や細胞のコロニー形成能が顕著に低下した。 M-CSFRの発現は、MOZ-TIF2が転写因子PU.1と結合を介してM-CSFR遺伝子の特異的DNA配列を認識することにより活性化することを明らかにした。PU.1遺伝子をコンディショナルノックアウトマウスを用いてPU.1遺伝子を欠損させるとM-CSFRの発現が著しく低下し、白血病誘導が完全に阻害された。これらの結果から、BRPF1/HoxA9経路やPU.1/M-CSFRが急性骨髄性白血病の幹細胞の維持に必須であることが証明された。また、ポリコーム複合体を形成するRing1A/Ring1Bが急性骨髄性白血病の幹細胞の維持に必須であることを明らかにした。Ring1A/Ring1B遺伝子の欠損により、発現の変化する遺伝子を網羅的に解析し、急性骨髄性白血病の幹細胞の維持に関わる因子を同定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
急性骨髄性白血病の幹細胞を維持する3つの経路を明らかにしたことにより、がん幹細胞制御の分子メカニズムを理解が深まり、治療標的の同定につながることが期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
急性骨髄性白血病の幹細胞を維持する3つの経路の分子機序の全容解析を明らかにし、これらの経路に関わる分子の遺伝子欠損マウスを用いた検証を行うことにより、治療標的となるシーズの同定を進める。
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Research Products
(5 results)