2012 Fiscal Year Annual Research Report
システム生物学的手法を用いた癌幹細胞の新規分子標的の同定
Project Area | Development of Novel Treatment Strategies Targeting Cancer Stem Cells |
Project/Area Number |
22130009
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
後藤 典子 東京大学, 医科学研究所, 客員研究員 (10251448)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
日野原 邦彦 東京大学, 医科学研究所, 特任助教 (50549467)
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Project Period (FY) |
2010-06-23 – 2015-03-31
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Keywords | 癌 / 遺伝子 / 蛋白質 / 細胞・組織 / トランスレーショナル研究 |
Research Abstract |
1)乳癌幹細胞システムを制御する鍵分子の同定 HRG-HER-NFkBシグネチャーならびにHRG-HER-PI3Kシグネチャーを鍵分子候補群として得た。GSEAやGOなどのパスウエイ解析も行った。様々なサイトカイン、ケモカイン、血管新生因子などのパラクライン、オートクライン因子によって、ニッチを制御するとともに、様々な細胞内因子を制御して癌幹細胞の未分化性が維持されていることが示唆された。乳癌臨床検体のスフェア培養の系を用いて、これら細胞外因子によるスフェア形成能が確認できた。また、いくつかの細胞内因子についても、ノックダウンによりスフェア形成が抑制されることから、癌幹細胞維持に重要な役割を果たしていることがわかった。 2) HER2乳癌の自然発症モデルの鍵分子同定 FRS2betaは、正常乳腺ではluminal細胞の前駆細胞に発現する一方、がん組織では癌幹細胞に発現していることがわかった。FRS2betaが発現している細胞は、ERKの活性が比較的低く、そのために細胞の未分化性が保たれていることがわかった。 3) 当概領域メンバーとの共同研究を進め、鍵分子抽出を行う。医科歯科大学・土屋輝一郎講師との共同研究にて、DNAマイクロアレイ解析並びにGSEA解析などのパスウエイ解析を行い、鍵分子抽出に協力した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
理由 HRG-HER-NFkBシグネチャーならびにHRG-HER-PI3Kシグネチャーに含まれる分子は、癌幹細胞並びにニッチ細胞を制御すると知られている分子が予想以上に多く含まれていた。癌幹細胞における機能がわかっていない分子も多く、今後、癌根絶の標的となりえる癌幹細胞の鍵分子を絞り込んでいくことが可能になった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の方策 現在の研究を進めて、癌根絶のための癌幹細胞の鍵分子の絞り込みを行う。 FRS2betaKOマウスの乳癌モデルを解析することにより、癌幹細胞ががん組織内に棲みつく仕組みを明らかにする。FRS2betaが、癌幹細胞のマーカーのひとつの可能性であり、癌幹細胞の分子標的ともなりえる可能性について検証する。
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Research Products
(12 results)